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2016.01.28 Thursday

January 27, 2016 | Coach Profit Exceeds Estimates in Q2

 Coachの復活基調が鮮明になりつつあるようです。

 第2四半期の業績は純利益は前期比5.9%ダウンの188.4百万ドルでしたがこれはアナリストの予想を上回る数字。売上は予想とほぼ同じで前期比4%増の12.7億ドル。Stuart Veversによる新たなイメージが浸透し、売上として結果が出てきている形のようです。デビューから非常に巧いコレクションを見せてきていますし、当然といえば当然ではあるのですが。

 店舗の整理なども一段落し売上や利益もひとまず底を打ったというところでしょうか。ここから確立されつつあるStuart Veversによるコレクションを軸とした"Modern Luxuary"のコンセプトを、William Sofieldによる新しいショップデザインへの切り替えを進めつつ、客足を本格的に戻していくという流れに乗せていくことができるかどうか注目ですね。

2016.01.28 Thursday

January 26, 2016 | La Perla Appoints Pedro Lourenço as Creative Director



 La Perlaのクリエイティヴ・ディレクターにブラジル出身のPedro Lourençoが就任。ウィメンズとメンズ及びParisのクチュールウィーク中に発表されているアトリエコレクションも担当します。

 デビュー時から個人的には好きなデザイナーではあるのですが、もともとのスポーティでフューチャリスティックなデザインをモダンに落とし込むのが巧いデザイナーで、かつここ数年はNikeとのコラボレーションで話題になることが多かっただけに、こうしたハイエンドのランジェリーブランドとのお仕事というのは、なかなか意表をつく組み合わせです。

 La Perlaは経営難に陥った2013年に行われたオークションの結果、イタリアの通信会社のFastwebのファウンダーであるSilvio ScagliaがSMS Financeを通じて取得。Mert & Marcusを起用したキャンペーンによる新たなイメージ戦略や中国展開などでビジネスの立て直しを図ってきたところへのブーストという形になりますでしょうか。

 Lourençoによるデビューコレクションのお披露目は、来月のMilanでの秋冬のファッションウィーク期間中とのこと。"I want to exalt La Perla’s aesthetic also because I think that its founder, Ada Masotti, established a brand with the goal of creating things for contemporary women, continuing to rework her style in sync with the changes around her”という本人のコメントもありますが、楽しみに待ちたいと思います。
 
■ Italian entrepreneur Scaglia bags La Perla at auction (Reuters)
■ Pedro Lourenço x Nike Women's Brazil Shirt (Hypebeast)
■ Nike’s Latest Fashion Play: a Capsule Collection with Pedro Lourenço (T Magazine)
■ Pedro Lourenço Designs a Special Edition of the Nike Air Rift (Hypebeast)
2016.01.26 Tuesday

January 25, 2016 | Designers Leading Dior after Raf Simons' Leave



 Raf SimonsがChristian Diorのアーティスティック・ディレクターを退任して初のランウェイショーとなる2016年春夏のオートクチュール。少なくとも3月に発表される2016年秋冬のRTWまではデザインチームで手掛けることになっていましたが、そのチームを率いるデザイナーが表舞台に。

 オートクチュールのショーの最後に姿を見せたふたりが、Raf Simons退任後のアトリエを支えるSerge RuffieuxとLucie Meier。Serge Ruffieuxは、Moschino Cheap & Chicに始まり、Sonia RykielにYves Salomon、Gerard Darel、Cacharelを経て、John Galliano時代の2008年にDiorに加わった41歳。一方のLucie Meierは、Louis VuittonでMarc JacobsとNicolas Ghesquièreの下で経験を積んだ後の2012年に、Raf Simonsにスカウトされた1983年生まれのデザイナー。

 プレフォールを見た際は、Raf Simonsが組み直したメゾンのコードを引き継ぎつつも、やはり小慣れない印象を受け、John Gallianoの解雇のあとにすぐ手堅いコレクションを見せたBill Gayttenの才能を改めて感じたりもしたのですが、今回のクチュールは"Bar Coat"のアイデアもよいですし、ジャケットやドレスの開き方もRaf Simonsを引き継ぎながらもよりフェミニンでカジュアルな雰囲気に。またストレートにシアーな素材使いも多くこのあたりは逆に新鮮ではあります。

 また急にAlexander McQueenのSarah BurtonがDiorに行くのではという噂もあがっているようですが、それならばSerge RuffieuxとLucie Meierのふたりの方が、Raf Simonsのテイストを引き継ぎつつよりいまの気分にレリバントにメゾンをアップデートしていってくれそうな気がした、Christian Diorの2016年春夏のオートクチュール・コレクションでした。




















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■ #SuzyCouture: Who's Hiding Behind Dior's Silk Curtains? (Vogue UK)
■ will sarah burton leave alexander mcqueen for dior? (i-D)
2016.01.26 Tuesday

January 21, 2016 | JW Anderson Adventures Into Retail Experiment With 'Workshop' Concept



 J.W. Andersonが初のショップをオープン。といってもいま勢いのある若手ブランドの華々しい旗艦店のオープンといった内容とは趣きが異なります。LondonのShoreditch High StreetのAce Hotel近くの250平方フィートというスペースに登場したポップアップストアは、Bloomsbury GroupのOmega Workshopsに着想を得たという、様々なジャンルのクリエイターとコラボレートした作品が並ぶ空間に。ある側面ではひとりでDover Street Market的な。

 Tim Blanksの書いた記事からいくつか興味を惹かれたコメントを引用してみると。

 まずは昨年亡くなったMiuccia Pradaの右腕ともいわれJonathan Andersonの初期のキャリアに大きな影響を与えたManuela Pavesiの下での経験を振り返り、"Ultimately I love designing clothing, but I love arranging it too, curating it into something" "When you do a rack, it is incredibly difficult to make it appealing, but when you would watch Manuela and Mrs Prada do it, rejecting everything one week, coming up with a new code of garments the next, it was incredible."と。ここで"curator"あるいは"editor"的なデザイナーとしての基礎が磨かれたのだろうなということがうかがえます。

 デザイナーとしての自身については(あまり自分を「デザイナー」として捉えていないというのはあるとしても)、“I see myself as reacting to a situation, taking from the world that’s around.” “Fashion already exists,” he counters. “You can’t add extra wheels to a car.”といういかにも彼らしい現実的な。そのうえでよく言われるデザイナーとアーティストのあれこれについては、“The dream would be to be an artist. But it will never be that for me. I don’t believe in that transcendence. I don’t believe a designer can go somewhere else.”というこれまた多くのデザイナーは敢えて口にしないであろうことをいっていたり。このあたりが個人的には非常にKarl Lagerfeldに近いなあといつも感じるあたりでございます。

 また昨年のBFAのウィメンズとメンズのダブル受賞については、"one season is one thing — men and women, the same vocabulary. I don’t see the difference. I don’t know how you can classify a garment as a gender.”といういつもの見解を。

 Londonに行く機会があればちらとよってみたいなと思っております。
2016.01.21 Thursday

January 20, 2016 | Grace Coddington to Step Down at American Vogue

 Anna Wintourと共にいまのUS Vogueのかたちをつくりあげてきたクリエイティヴ・ディレクターのGrace Coddingtonが退任という大きなニュースが。

 クリエイティヴ・ディレクターは退く今年74歳のGrace Coddingtonは、年内はクリエイティヴ・ディレクター・アット・ラージとして、同誌のシューティングに携わるとのこと。今後はMatthew Moneypennyが設立したばかりのGreat Boweryがエージェンシーとなり、まずはComme des Garçonsの新しいフレグランスのプロジェクトなどに関わるとのこと。ちなみにこのGreat Boweryですが、Bruce WeberやAnnie Leibovitzらも抱える要注目のエージェンシーです。

 1988年のAnna Wintourの編集長就任とともにクリエイティヴ・ディレクターとなったわけで、ふたりの雑誌づくりの様子は話題となった映画の"The September Issue"でも描かれていましたが、Coddingtonの年齢もさりながら、Condé Nast全体のアーティスティック・ディレクターでもAnna Wintorのもとで変革が進む同社の現在をある面では象徴的に示す出来事なのかもしれません。他にもPhyllis PosnickやTonne Goodmanら、すでに15年や20年以上といった長さでVogueに関わっているベテランも、徐々に若い世代へとバトンを渡していくフェーズに入っているのかもしれませんね。

 まだまだ今年いっぱいはVogueでのGrace Coddingtonのお仕事は見れますし、これからも彼女の活躍を楽しみにしたいと思います。

■ Grace Coddington to Step Down as Creative Director of American Vogue (Business of Fashion)
■ Grace Coddington, Accidental Celebrity of ‘The September Issue,’ Steps Down at Vogue (The New York Timse)
■ The Man Who Would Make the World a Prettier Place (The New York Times)
2016.01.21 Thursday

January 19, 2016 | Paco Rabanne Opens Paris Store

 Paco Rabanneが14年ぶりとなるブティックをParisの12 Rue Cambonに750 平方フィートでオープン。Puig傘下のPaco Rabanneは、ファウンダーであるPaco Rabanne本人の退任後はデザイナーが定着せず低迷していましたが、2013年にJulien Dossenaがクリエイティヴ・ディレクターに就任してからは、モダンでスポーティなテイストをベースにメゾンのフューチャリスティックなアーカイヴを巧く組み合わせ、新たなイメージの構築に成功しつつあります。

 Julien DossenaはBalenciaga時代のNicolas Ghesquièreの下で活躍した後、自身のブランドのAttoをスタート。若手デザイナー支援のプログラムとしては、既に最大の注目度となっているLVMH Prizeの最初のファイナリストのひとりにも選ばれています。Paco Rabanneのクリエイティヴ・ディレクター就任に伴い、Attoを休止することとなったため、最終選考は辞退する形となりましたが、個人的には最有力候補だったと思っています。

 そんなJulien Dossenaをビジネス面で支えるのがCélineからスカウトされたゼネラルマネージャのAnouck Duranteau-Loeper。Parisに続き今年はLondonにもブティックをオープン予定で、その先にはUSへの展開も計画しているとのこと。LAが有力な候補のようです。売上もこの1年の5百万ユーロから向こう12ヶ月から18ヶ月で倍に伸びる見込み。今回オープンするParisのブティックで1百万ユーロを売り上げる予測となっているようです。

 またオンラインコマースもスタート。まずは欧州から対応し、北米はBarneysに卸し、その他の地域はFarfetchでカバーという形になります。こういったところでFarfetchを活用するのが、いまのやり方ということになるわけですね。

 親会社のPuigのメインのビジネスはフレグランスですが、昨年はNina RicciにCarvenからGuillaume Henryを迎え、Jean Paul Gaultierを買収するなど、フレグランスに強みのあるブランドのファッション部門の強化に本格的に取り組み始めています。今週は、Carolina Herreraでもセールス面での幹部採用が発表されていました。

 クリエイティヴとビジネスの両軸がうまく回り始めているPaco Rabanneに今後も注目したいと思います。

■ Paco Rabanne Revs Up With Paris Store, E-commerce (WWD)
■ Carolina Herrera Ltd. Taps d’Estienne d’Orves to Build Global Sales (WWD)
2016.01.21 Thursday

January 18, 2016 | Adidas Names Henkel's Kasper Rorsted as CEO

 Adidasが新CEOに消費財大手のHenkelのCEOを務めるKasper Rorstedを指名。Kasper RorstedはHenkelを4月30日に去り、8月にAdidasにジョインし、10月1日から正式にCEOに就任するというスケジュールです。

 2001年にAdidasのCEOとなった現任のHerbert Hainerは、在任中に売上を3倍に伸ばしAdidasをグローバルなブランドへと成長させた立役者です。ただこの2年あまりは、成長の鈍化により中期計画の変更を余儀なくされ、最大のライバルであるNikeとの差が開く一方で新興のUnder Armourが背後に迫ってくるという厳しい状況にありました。昨年からHerbert Hainerの任期を2017年までとし、その間にUSでの商品開発の強化やマネジメント陣の刷新などを進めつつ、CEO探しを進めてきた結論が今回のKasper Rorstedの起用ということになります。2015年から続くBoostモデルやKanye Westとのコラボレーションのヒットがある意味では花道ということになるかもしれません。

 いずれにしても、内部からの大きな改革は難しいだろうという(いかにもドイツらしいということになるかもしれませんが)評判どおり、外からのトップ起用でどれだけスピーディに再び成長軌道に乘せていけるかに注目したいところです。

 ちなみにKanye Westとのコラボレーションの裏話などが出ていましたので、ご参考いただくとよいかと。

■ Kasper Rorsted Named Adidas CEO (WWD)
■ Hans Van Bylen Appointed Henkel CEO (WWD)
■ Adidas' Jon Wexler Discusses Kanye West, Yeezy Series & Facts (Nice Kicks)
2016.01.21 Thursday

January 15, 2016 | Burberry & Richemont’s Mixed Q3 Result

 BurberryとRichemontが第3四半期の業績を発表しています。

 ここ数四半期は特に中国圏の落ち込みにより、業績が停滞していたBurberryの売上は603百万ポンドと前年同期比と横ばい。ただ20%減の香港や澳門など中国からの観光客が成長の源泉だったエリアは厳しい状況が続いているものの、中国本土と韓国は持ち直しているようです。Christopher Baileyは一番難しいタイミングにクリエイティヴのトップに加えてCEOを兼務するという、創業者ではないデザイナーとしてはきわめて珍しいポジションに就いたわけですが、マクロ環境の影響が大きいとはいえ、もし今後の成長戦略が巧く描きにくい状態が続くとなると、将来に色々と影響が出てきてしまうかもしれません。

 Richemontの第3四半期の売上は、前年同期比で3%減の29.3億ユーロ。特に欧州の観光客と香港を中心とするAPACの時計需要の落ち込みが引き続き響いているようです。USもあまり強くはなく、端的には海外旅行先での消費を含めた中国人全体の動向が鈍っていることが原因ということになるかと思います。一方でジュエリーが好調だったことで、売上の減少もこの程度ですんでいるという図式。その他の個別のブランドでは、ChloéやPeter Millar、Montblancが順調に推移しているとのこと。

 年明けから国際情勢も不安定で、株式市場や原油価格も下落傾向にあるなか、今年も序盤は引き続き大きな成長を見込むのは難しそうですね。

■ Burberry Q3 Retail Sales Flat as Mainland China Perks Up (WWD)
■ Richemont’s Q3 Sales Dip 3% as Europe Tourism Ebbs (WWD)
2016.01.21 Thursday

January 14, 2016 | Misha Nonoo to Forego a Runway Show in Fashion Week

 ちょうど2月からの各都市の2016年秋冬のファッションウィークのスケジュールが確定するタイミングということもありますが、先日来ご紹介しているRebecca MinkoffやSaint Laurentに続き通常とは異なる発表形式を選ぶデザイナーが。

 Misha Nonooは、2016年春夏のコレクションのInstagramでの公開が好評で、ビジネス的にも問題なく推移したことを受けて、2016年秋冬もランウェイショーは行わないことを明らかに。今回も一般向けにはInstagramでルックを公開し、バイヤーやメディア向けにはショールームでコレクションを見せるという形式となります。時期はもちろんNYのファッションウィークと合わせて2月に。

 Misha Nonooの場合は販売チャネルのうちオンラインコマースの占める割合が、プロモーションを行っていないにも関わらず20%と高く、ユーザとダイレクトにつながっていることが、こうした選択肢を取りやすくしている大きな理由のひとつではあるかと思います。様々な場所で書いていることでもありますが、ビジネス的にMisha Nonooのようなフェーズのデザイナーにとっては、費用も時間もかかるランウェイショーを実施するよりも堅実で効率的といえることは確かですよね。

 近く発表されるであろうCFDAがBoston Consulting Groupに依頼している調査結果の内容がこの傾向を加速するかもしれませんが、ブランドやデザイナーがそれぞれ最適なコレクションの発表形式をより柔軟に選択していくケースが今後も増えそうです。
2016.01.14 Thursday

January 13, 2016 | Saint Laurent to Present Fall Collection in LA



 ブランドやデザイナーがコレクションをどういった場でどういった手法で見せていくべきかという問題は、ここ数年加熱するコレクションのサイクルやファッションウィークのスケジュールの過密化、またインターネットやソーシャルメディアの普及による情報消費のスピードの加速で、コレクション発表と販売のタイミングのずれに対する違和感が大きくなってきていることもあり、ファッション・システムの根幹に関わる課題として、これまで以上に様々な議論がなされるようになってきています。デザイナー側も、DiFaの2015年のまとめの後編でご紹介したTom FordやMisha Nonooの事例や、また先週のRoundupで触れたRebecca Minkoffの一般消費者も招待したインシーズンのコレクションのショーなど、それぞれ独自に新たな試みに取り組み始めました。

 そんな中、Saint Laurentが2016年秋冬のメンズのコレクションとウィメンズのコレクションの"Part 1"のショーを、NYのファッションウィークが始まる前日の2月10日にLAのPalladiumで行うことを発表。メンズはもともとParisのファッションウィーク期間中の1月24日に予定されていたのですが、これまで使われてきた会場はキャンセルされているようです。ウィメンズについては、通常のParisのファッションウィーク期間中の3月7日に"Part 2"としてショーで見せるとのこと。

 2008年からLAに住み、2012年にSaint Laurentに招かれてからそのスタジオもLAにつくってしまった、クリエイティヴ・ディレクターのHedi SlimaneのLAへの想いが結実した結果という雰囲気。またHedi Slimane Diaryの10周年ということもあり、新たに動画による"Music Portrait Video"という形でのキャンペーンも。

 ただ気になるのは、年初に出たHeli SlimaneがSaint Laurentとの契約を更新しないのではという噂が再びメディア(しかもWWD)に登場しており、しかも今回は後任の最有力候補としてAnthony Vaccalleroという具体的な名前まで挙がっているということ。このLAのショー関連の集大成感がかえってこの噂に真実味を与えている部分もあり、真相が非常に気になるところではあります。個人的には、Anthony Vaccalleroはほぼデビュー時からずっと推しているデザイナーなので、それはそれで楽しみではあるのですが。







■ Saint Laurent Will Present its Fall Collection in Los Angeles Before Fashion Week (Fashionista)
■ Hedi Exiting YSL? Vaccarello Said in Wings (WWD)
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