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2006.12.31 Sunday

2007SS Lanvin

敬愛するアルベール・エルバスによるランバン

ここ数シーズンの傾向と大きく変わらない、少しボリューム感を持たせたLBDやワンピース、ビスチェスタイルのドレス、ミニスカート、そして美しいトレンチといったお馴染みのアイテムを中心に、一目でエルバスのデザインとわかるプロポーションとシルエットの作品が並びます。

異なるのはその素材使いとディテールのアイデア。素材ではポリアミドとポリエステルで作られたパラシュート生地や、シャイニーなナイロン、シルクとポリアミドを交織させてウォッシュしたシャンタン。ワークウェアやミリタリーの影響を感じるパッチポケットの配置や、スポーティなファスナー使いに、グログランのストラップ。ラバーのチュニックや濡れたように表面を加工されたトレンチコートやジャケット、そして鋲打ちされた甲冑のようなドレスに、宇宙服のようなプロポーションをシャイニーだけれど柔らかい印象のファブリックで表現したオールインワンのジャンプスーツ。

装飾を一切排したスポーティでアスレチックな素材使いが、いつもとは違った切り口でタフネスとリアリティを演出しています。同じフューチャリズムでもバレンシアガやフセイン・チャラヤンを中心に見られた「コスチューム・プレイ」的なアプローチと一線を画し、デイリーウェアとしてのドレスというリアル・クロースに昇華させています。

いつもよりロマンチックな雰囲気は抑えめでも、エレガンスを忘れないのがエルバスのクリエイションの素晴らしいところ。終盤に登場した体のラインを優しくなぞるイヴニングドレスは、いつもながら溜め息が出そうな程に美しい作品。それと、アシンメトリーなミニドレスがいくつか見られたのは、今季の特徴のひとつかもしれません。

グッチのフリーダ・ジャンニーニのコメントにもありましたが、アルベール・エルバスにとっても60年代をインスピレーションのひとつとした最大の理由は、なによりも"freedom"。その自由が求めるものが何か、自由な精神が志向する先はどこか、と考えたときに自然と出てきたのが新しいタフさとセクシーさ、そしてフューチャリズム。
"With freedom of spirit, you can go further. I wanted to touch technology, engineering, silicone, nylon, metal, and plastic. And a new place for the pragmatic."
やっぱり誰が何と言おうと、いま一番好きなデザイナーはアルベール・エルバスです。他には考えれらない。もう一生着いて行ってもいい気分です。掲載するルックももう少し絞ろうかと思ったけれど、気に入ったものは全部載せちゃいます。

というわけで、今季もまた手放しで絶賛してしまったアルベール・エルバスによるランバンでした。


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2006.12.31 Sunday

2007SS Prada

常に未来を我々に提示してくれる、ミウッチャ・プラダによるプラダ

今回は中近東やアフリカ、そしてインドに着想を得たエスニックな要素を、ウルトラミニを中心としたショートでコンパクトなフォルムに落とし込み、ボルドーやパープル、ブラウンといったダークカラーで表現。特にチュニックがセクシーで素敵。

ターバンにレザーのフリンジをあしらったり、ジオメトリックなプリントなどのエスニシティで遊びながら、ダークに輝くサテン素材をクチュール的なアプローチで用いて絶妙なボリューム感を実現。

朱色をベースにしたカモフラージュ・プリントのワンピースや、サテン地の大きめなマウンテン・リュックなどどこかサバイバルな雰囲気も。

それでもトータルなテイストはあくまでグラマラス。特に中盤以降に見られるブラックのロングドレスが秀逸です。

そのクリエイションの力に圧倒されるのだけれど、個人的にはまだ消化しきれていないというのが事実。何回か見ているのですが、ちょっとこういう感覚は初めて。違和感があるということもなく、スタイリングも個々のアイテムも完璧なのに、不思議でございます。

そんなわけで、若干の戸惑いを覚えながらも、モードの予言者としてのミウッチャ・プラダのパワーを改めて確認することができた今季のプラダでした。










2006.12.31 Sunday

2007SS Gucci

フリーダ・ジャンニーニによるグッチ

コレクションを発表した9月27日にメゾン創立85周年を迎えた今季は、トム・フォード時代を思い起こさせるような70'sのグラマラスでディスコなテイストを見せた2006-07AWから一転、今季のトレンドにも乗ってより親しみやすくモダンでガーリーな60'sのスタイルに。

Aラインとトラペーズのマイクロミニというコンパクトでニートなシルエットが基本。ブラック&ホワイトなモノトーンをベースに、パープル、レッド、オレンジ、フューシャピンクのジオメトリックなパイプラインやカラーブロック、そしてフラワープリントやパッチワークを載せたカラーパレットのコントラストが鮮やか。

花柄の表現も、アップリケをジオメトリックに配置したり、ミラノのタイルに見られるモチーフから引用したりと、様々な形で表現されています。パイピングやカラーブロックの使い方も、ベルスリーブの切り返しに用いられる細く繊細なものから万華鏡のような大胆な配置まで、豊富なバリエーション。ヘキサゴン柄やドルフィンをモチーフにした柄も、アンティークなスパンコールやクリスタルの刺繍の組み合わせで、ひとつひとつの要素を形作るという、クチュール顔負けの凝った技法で描かれています。

個人的には、後半に登場したグラフィカルな柄を施したタイトでナロウなジャケットとパンツのマスキュリンなスタイリングがお気に入りです。7月に発表したフリーダ・ジャンニーニによる初のメンズコレクションの流れを引き継いだテイストですね。パンツスタイルでは、やはりスネジャナのルックがベスト(スネジャナ贔屓ですいませんー)。

終盤に並んだスカーフ風プリントのドレスはゴージャスだけれど、そのボリューム感と素材感も手伝ってリラックスしたヴァカンスの雰囲気に仕上がっています。

時にはチロリアン風のフォークロアなパッチワークのワンピースを見せるなど、デザイナーのクリエイションの幅の広さも感じさせます。

ブラックに、鮮やかなピンクやオレンジ、パープルにレッドという組み合わせがもたらすエレクトリックでグラマラスなテイストが、グッチというメゾンの持つ雰囲気を引き継いでいるようにも感じます。側面をカラーリングされたブロックのようなヒールのサンダルも気になるアイテムのひとつ。

最後に登場したデザイナー本人がやっぱり一番似合っていますよね。

ちょっとそのままお店に並べるには若干問題ありな気もしますが、フリーダ・ジャンニーニの考える"Gucci Girl"のカラーをより鮮明にできたシーズンなのではないかと思います。新しいグッチのスタイルをどう確立していくか、今後に期待したいグッチでした。


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2006.12.31 Sunday

2007SS Alessandro Dell’Acqua

個人的にどうしても気になってしまうアレッサンドロ・デラクア

クリストファー・ケインをはじめとして、ロンドンで見られたジャンニ・ヴェルサーチへのオマージュとも言えるショート&セクシーの流れを受けた形となった今回は、パイソン、ゼブラ、レオパール、ジラフなどのアニマルプリントを多用した、グラマラスなコレクションを披露してくれました。

ただしそのグラマラスな雰囲気やセクシーさを内に秘めて、過剰に表出させないのが、デラクアの独特な持ち味であり、僕の好きなところ。繊細な刺繍やシフォンに施されたドレープやプリーツ、羽飾りなどのディテールが、クチュールな上質感と品格を加えるのに一役買っています。

ベストルックはブラックのカットウェイや、レースのドレス。ナローでショート丈のウェストをしぼったボディ・コンシャスなシルエットが効いています。カマーバンドが特徴的なジャージードレスも外せないアイテム。

メタリックな素材とアニマルプリントのアイテムの組み合わせに、パイソンやモノトーンのレオパール柄のフラット・サンダルやプラットフォームで足元を飾るスタイリングは、野性味とモダニティを融合させた興味深い表現です。

ちょっとアニマルプリントが多過ぎるのと、何故このタイミングで?という印象は拭いきれないものの、楽しめるコレクションを見せてくれたアレッサンドロ・デラクアでした。


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2006.12.31 Sunday

2007SS Bottega Veneta

トーマス・マイヤーによるボッテガ・ヴェネタ

スモッキングにキルティング、ドレーピング、ワッフル・プリーツ、細かなギャザー、そしてタッキング。"It's all about surfaces"というデザイナーのコメントが示すように、ボリューム感にこだわったテキスタイルの加工に、クチュール並みのクラフトマンシップを見せた充実のコレクションです。

キーとなるカラーパレットは、くすんだピンクレッドのバリエーション。そこにバターイエロー、ベージュ、モカ、ライトグレーなどを加えて、リネンやコットン、シルク、ヤギ革などの天然素材の少し枯れた風合いとの相乗効果でコレクション全体にどこかフォークロアな土っぽさを演出しています。

ペーパーコットンや厚手のリネンを多様し、パッドでボリュームを作り、タッキングやスモッキングで繊細に表面を演出しながら、軽くエアリーに、そしてゆったりとした着心地に仕上げられたに仕上げたイヴニングドレスが今季を代表する作品。胸元や肩、袖に施した繊細なプリーツや結び目といった装飾が、これ以上ないくらいフェミニンで素敵です。イントレチャートをコットン素材でスモッキングとして表現したワンピースは出色のアイデア。カーディガンやキモノスリーヴなどのディテールを中心に、避暑地をイメージしたというリラックスしたアイテムが多く見られたのも印象的です。細かなキルティングによる、ジオメトリックな表現も見られました。ロマンティックなフェミニティを中心に据えながらも、素材の強さとのバランスで甘くなり過ぎず、モダンにまとめられています。

それにしてもデコルデが素晴らしいですね。セクシーさとフェミニンさのバランス感覚が絶妙。

アクセサリーでは、お馴染みのイントレチャートはバッグはもちろん、T字のサンダルにも用いられていました。バスケット風のバッグもちょっとおもしろいですね。

最高の素材とクラフトマンシップ、そしてトーマス・マイヤーのクリエイティヴィティに裏打ちされたウェアの完成度の向上も著しい、今季のミラノでも屈指のコレクションを見せてくれたボッテガ・ヴェネタでした。


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2006.12.30 Saturday

2007SS Burberry Prorsum

クリストファー・ベイリーによるバーバリー・プローサム

メゾンのもつブリティッシュなアイコンをトレンドと融合させるお馴染みのスタイルは健在。セシル・ビートンが1960年代に撮ったポートレートにインスパイアされたという今回は、"lighter and more joyous"を心掛けたというデザイナーのコメントどおりの春らしいコレクションになっています。

メゾンのシグチャーであるトレンチは、いつものように素晴らしい完成度。今季は、ランタンなスリーヴやトラペーズなシルエットにより、独特のカーヴィなプロポーションを作りあげています。ジェシカ・スタムの着ている作品のように、エンパイアラインなトレンチも、あくまでエアリーに軽く仕上げられているのがポイント。そして、メタリックなパイソン柄、コッパーやゴールドで加工した素材使い、ビジューを襟や裾に縫い付けたりとバリエーションも豊富。

薄くラメで覆われたローズピンクやバニラなどのペールカラーにドレスや、フリルのリボンをトリミングしたワンピースはとびきりフェミニン。メタリックなジャカードに描かれるモール糸の花柄の刺繍や、アルミヤーンと交織させたコットンジャカードなどの素材も、ブライトな印象を効果的に演出しています。シルバーのプラスチック、乳白色や琥珀色の長方形のビーズ、小さなミラーチップなどを縫い付けた装飾は、夏に発表されたメンズから引き継がれた意匠。

柔らかくフェミニンな雰囲気を引き締めるのが、太めのブラックのヘアバンドと同じくブラックのパテントのアンクルブーツ、そしてウェストを高めにマークするベルト。

個人的には、ベルシェイプのスカートやワンピースに、ショート丈のジャケットを合わせたスタイリングが好みだったりします。コートとワンピースの組み合わせも良いですな。

メタリックシルバーのサンダルも注目アイテム。バッグでは、トレンチのバックルを模したベルト付きのものや、メタリックなシルバーのレザーにバーバリーチェックを施したデザインが素敵ですね。

期待を裏切らない貫禄のコレクションを見せてくれた、クリストファー・ベイリーによるバーバリー・プローサムでした。


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2006.12.30 Saturday

2007SS Etro

ヴェロニカ・エトロによるエトロ

デビッド・ボウイの"Ziggy Stardust"や映画スター・ウォーズの"Princess Leyla"が繰り返し流れるランウェイで披露されたのは、フューチャリスティックなテイストをベースにエスニックなディテールを取り込んでボヘミアンに仕上げた "cosmic nomads"のための"psychedelicouture"を見せています。

ただ、新しいボリューム感に挑戦している様子はうかがえるのだけれど、あまり成功していないような気が。カラーブロックやメタリックなアクセサリーによるアクセント、エスニックなディテールなど、どれも今季のトレンドに沿ったものだし、エトロ本来の雰囲気とも相性は悪くないはずなのだけれど、どうもちぐはぐな印象は拭えないところ。

とはいえ、メゾン伝統のペイズリープリントのシルクをパッチワークのように組み合わせたドレスや、イリーナ・ラザルヌのワンピースはさすがの出来。イリーナ・ラザルヌといえば、序盤のロング丈のパンタロンあたりも今回のベストルックのひとつかな。

市松模様のジャケットやベストも意外とキュートで好きです。単にスネジャナが好きなだけかもしれませんが。サークル柄やV字のカラーブロックなどのジオメトリックなプリントやパッチワークのアイテムはちょっと微妙な感じですね。

アクセサリーでは、ブラック&シルバーのメタリックなプラットフォーム・シューズや、ゴールドやシルバーのシャイニーなキューブ型のバッグはなかなか素敵です。

ここで取り上げたのは初めてのような気がしますが、基本的には好きなメゾンなので、これからも一応書いていこうかと。


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2006.12.21 Thursday

Alexandre Plokhov Plans to Close Cloak

 アレクサンダー・プロコフが6年間デザインしてきた彼のシグニチャーとも言えるクロークのビジネスを、2007年春夏の作品を最後にクローズする予定というニュース。(おそらく)資金面でのパートナーとの方向性の不一致が原因と伝えられてはいますが、真相は不明。STYLE.COMとのメールでのインタビューによると、ここ1年程の間、ずっとクロークを辞めるかどうか考えてきたということのようで。

 今後の彼の動向については未定ですが、参加が発表されていたユニクロのデザイナーズ・インビテーション・プロジェクトの第2弾については継続されるようです(訂正)。ただし、どの程度の型数になるかは不明。

 昨年のCFDAではSwarovski Perry Ellis Award for Menswearを受賞し、今年はMenswear Designer of the Yearにもノミネートされて絶好調だっただけに残念。結局買ったことはないのだけれど、割といつも気になる服を見せてくれていたのだよね。また何らかの形で復活してくれることを期待しております。
  
2006.12.13 Wednesday

Scarlett Goes Pink for Vuitton

スカーレット・ヨハンソンをフィーチャーしたルイ・ヴィトンの2007SSのADが数点あがってきたのでご紹介。

フォトグラファーはお馴染みのマート・アラス&マーカス・ピゴー。いつになくロマンティックな雰囲気になっています。こういう写真も出来るんですね。彼ら。LoVeのトートバッグも登場してhappyでcuteな春を演出。







マーク・ジェイコブスの"She looks like the French coquette. It's just fresh, very romantic and extremely pretty"というコメントどおりの仕上がり。スカーレットって不思議にFrenchなイメージなんだよね。

ジェマ・ワードの登場するNomadeのADも楽しみですな。こちらも撮影はもちろんマート・アラス&マーカス・ピゴー。
2006.12.13 Wednesday

H&M to Enter Japanese Market...?

ショートにニュースをひとつ。

先週マドンナとコラボレーションの第2弾となる"M by Madonna"が来年3月に世界中の店頭に並ぶというニュースがあったばかりのHennes & Mauritz ですが、遂に日本に上陸するという情報が。

一応2008年ということになっているのだけれど、Abercrombie & Fitchの例もあるし、あまり期待し過ぎずに様子を見ることにしますか。。。
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