コソの出来事

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2007SS Jil Sander
2006.12.12 Tuesday
ラフ・シモンズによるジル・サンダー

個人的には、彼がオリジナルのデザイナーなのではないかと錯覚してしまう程の適応性と化学反応を、2シーズン目にして見せてくれた素晴らしいコレクションだと思います。

今回のポイントのひとつは、ジル・サンダー時代には見られなかった原色の鮮やかな色使い。とはいえ、夏に発表された2007SSのメンズで既に見せていた作品の延長なので、それ自体に大きな驚きはありません。

もっとも、ストイックな程ニートなワンピースやスカートと七色に輝くスパンコールのアイテムは圧巻でしたけど。

が、より重要なのは、新しいジル・サンダーのテーラードのスタイルを確立したことです。

シモンズによる新しいジル・サンダーのテーラードのシルエットを形作る上で重要な役割を果たしているのが、襟元のディテール。襟を小さく作り、少し後ろにシフトすることで、肩のラインを小さくまとめる効果が。さらに、かなり狭めのラペルが半円のコンパクトなネックラインを強調し、少しボリュームを持たせたコートやジャケットの身頃とのコントラストを演出。全体をシモンズらしいボクシーな造形が包むことで、新しいテーラリングのプロポーションが生まれています。

特に終盤に2度登場したブラックのベルベットっぽい艶のあるコートジャケットが秀逸。すごく欲しいです。

一方でボトムは非常にタイト。そこに完璧なカッティングのシャツを合わせるという、ファウンダー時代にも(そしてシモンズのシグニチャーにとっても)お馴染みのスタイリングは健在。でもワイドなパンツとのコーディネートも用意されているのでご安心を。

では、ラフ・シモンズの作品に感じられる新しさの源泉はどこにあるのか?

WWDのインタヴューでのデザイナーのコメントが全てのように思います。

服の機能性や着心地を追求した結果としてミニマルな作風を残したジル・サンダー本人に対し、ラフ・シモンズは自らミニマリズムの信奉者を名乗るデザイナー。この差って見た目以上に大きい。

サンダーの服は表層的にミニマリズムと評するよりも、機能と着心地とデザインという要素を一分の隙もなくまとめあげる完璧主義の産物。

一方で、見た瞬間に明らかに美しいと感じ取れるミニマルな作品を見せるシモンズの作品は、ディテールのそこかしこに解釈の自由という余地を残しているように感じます。そういった点でシモンズの作る服は、いつもどこかコンテンポラリー・アートに似た匂いがするし、服を前にした人に対して考えることを要求するという意味では、サンダーの作品よりも要求されるレベルが高い気のかも。

今季の作品には、極度に装飾を削ぎ落としたミニマリズムと、色や素材の強さの組み合わせという衝撃から生まれる、クールなセンシュアリティも魅力のひとつかな。

ロマンチックなフューチャリズムを静かに讃える、真にアートと呼べそうな素敵なコレクションを見せてくれた、ラフ・シモンズによるジル・サンダーでした。
 









| 2007 SS Womens | 02:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
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