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2005.04.26 Tuesday

2005-06AW PHI

実はこれまで、あまりちゃんと見たことがなかったフィー。アンドレアス・メルボスタッド(Andreas Melbostad)によるコレクションは、そういえばリステア一押しでもあったような気がする。

改めてよく眺めてみると、実に素晴らしい。そのシャープなテーラリングによるストロングなシルエット。ナターシャ・ポーリーのように、ジャケットにストライプのシャツ、超細身のパンツとブーツを合わせたスタイリングがクール。ジャケットもコートも基本的に肩が広め。このあたりはミリタリーなテイスト。色はひたすら黒。そして時に白。なにか川久保玲や山本耀司を思い起こさせる黒なのだが、もっとシャープで現代的。アウターはウールのフェルトやレザーが重層的に使われてより強い雰囲気を作っているが、インにシルクやカシミヤを持ってくることで、バランスを取っているのも好感度大。ワンピースやドレスにもスタッズが打たれて、決して甘くならない。

こういうストイックなコレクションを見ると、気持ちが引き締まります。これって本当にNYブランドなんだろうか、とも思うけど、Fantastic。いまさらながらの嬉しい発見。ここの服が似合う女性は無条件で好きになれるかも。とゆーのは言い過ぎです(笑)。









2005.04.22 Friday

2005-06AW Preen

ロンドン・コレのレビュー第2弾は、ティア・ブルガッジィ(Thea Bregazzi)とジャスティン・ソーントン(Justin Thornton)によるプリーン。この2人の名前、実はちゃんと覚えてませんでした(笑)。ごめんなさい。

思えばグランジな雰囲気でデビューしたプリーンも、シルエットも素材もすっかりモードになって、いまではロンドンの最注目ブランドの一つに。

とはいえ、今季は新しいボリューム感に挑戦。もちろんNY〜ミラノ〜パリと続くふんわりバルーンなシルエットの流れも汲んでいるわけで、そこがメインストリームなトレンドの影響があまり及ばないロンドン全体の傾向と、一線を画すところなのかも。ウェストマークをほとんど意識しない、コクーンドレスがおもしろい。
コートやジャケットでも、コクーン・シルエットが見られました。

ちょっとアルマーニを思い出すようなスモーキーなカラーを中心(ここでアルマーニの名前を出すのは、あまりに不自然か?)としたジャージー・ドレスは、襞飾りや裾のカッティングが一緒になって、ただ甘いだけではなく、実験的な要素も感じさせる作品に。

後半にいくつか並んだチェック柄のコートも興味深かったですね。いまやアントワープから失われた実験性と、よりポップでウェアラブルに、うまくミックスさせたスタイルを確立した感もある(それをビジネス的な妥協と呼ぶならそうなのかもしれない)、プリーンでした。











2005.04.20 Wednesday

2005-06AW SINHA-STANIC

ちょっとロンドンも見てみましょう。インド系イギリス人のフィオナ・シンハ(Fiona Sinha)とクロアチア人であるアレクサンダー・スタニック(Aleksandar Stanic)によるシンハ・スタニックのデビュー・コレクション。

昨シーズンのロンドンで、新人発掘・育成プロジェクトとして行われた「ファッション・フリンジ」のファイナリストの一組となったご褒美です。しかもアルベルタ・フェレッティやモスキーノを傘下に持つアエッフェと生産販売契約を結んでいます。間違いのないマテリアルに裏打ちされて、これがデビューとは思えないほどの素晴らしい出来。

東京にも通じることだけど、ロンドン・コレクションは全般に、アイデア勝負な面が強いが、資金力がないために、良い素材をそろえられず、どうしてもみすぼらしく見えてしまう。パリやミラノがどうして素敵かって、やはり最上級の素材を使えているという部分が大きいわけです。もちろんそうした素材を用いるには、ビジネス的なバックが必要になってくるのだけれど。東コレでも、もっと良い素材を使わせてあげたいよなーと思うデザイナーがいつもいます。

ワンピースやスカートは軽くドレープを持たせたフェミニンなテイスト。ウェストマークもリボンや紐を用いてゆったりした雰囲気。でも確実に、最近のヘルムート・ラングやリック・オーエンスのようなスポーツテイストを通過しているコレクションです。

後半に登場した一連のターコイズ・ブルーのドレスやワンピースが美しい。スパンコールがフロント全面にあしらわれているのも、おもしろいね。

今後がかなり楽しみなシンハ・スタニックでした。











2005.04.17 Sunday

2005-06AW Christian Dior

コレクション・サーキットが終わって1ヶ月も経っているのに、まだレビューを続けております(汗)。今月中は時間の許す限り見ていこうかな。ロンドンと東京も少し書きたいしね。

ようやくジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオールを。先シーズンに引き続き、リアル・クローズを極めたコレクション。今季のメイン・トレンドであるリアル・クローズの震源は、2005年春夏のディオールのコレクションだったことを思えば当然か。

まずは、1月のオートクチュールを引き継ぐ形で、60'sスタイルが登場。ボーダーのロングニットやニットドレス、ビッグフェイスのサングラスにキャスケット。クロコやフェルトなコートのインに、黒のボディドレス(レオタード?)といったスタイリングもクチュールと同様。
ポップなシルエットだけれど、モノトーンにキャメルというカラーパレットをベースに、ベルベットやクロコダイル、レザー、ミンクといった素材を贅沢に重ねています。
そうそう、クロコのコートは1着2500万円らしい。もうプレタなんだかクチュールなんだかわかりません(笑)。

中盤からは、もう一つのテーマである、30年代のハリウッド女優スタイル。他にもいくつかのメゾンで名が挙がっていたが、ミューズはジーン・ハーロウ。「往年のセックスシンボルたちが21世紀のジェットセッターになっていたら?」というエキセントリックなアイデア。同じハリウッドをモチーフにしても、帝政ロシアのテイストと混ざったデカダンスな雰囲気が主流だった今季において、ディオールのポジティヴなパワーは光ってました。

2005年春夏のクチュールでディオールが発表し、今シーズンのトレンドの一つとなった帝政ナポレオン風のエンパイア・ルックも、後半に並んだゴージャスなイヴニング・ドレスへと昇華されています。

ショー自体に以前のようなspectacleはないけど、服そのものがspecutaclar、
やはりガリアーノが、僕の中で当分はNo.1デザイナーです。


















そういえば、ASSOULINEのファッションデザイナー/ブランドシリーズの最新刊として、ディオールが出ているのを発見しました。

Dior (MEMOIRE)
Marie-France Pochna
Editions Assouline

2005-07-30
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2005.04.14 Thursday

2005-06AW BALENCIAGA

ニコラ・ゲスキエールによるバレンシアガ。資本関係も含めて色々な理由から、本当のことをいうと、好きかと言われればそうでもないのだけれど。3年前くらいの確信犯的盗作疑惑の件への対応をか含めてね。

その時々のトレンドとは一歩引き(むしろ今回は未来的な雰囲気の作品で先を行ったわけだが)、いつも彼流のスタイルを貫いている点は、メゾンの創始者であるクリストバル・バレンシアガに通じるものなのかも。ゲスキエールの場合は、アンチ・ファッションというわけではなく、一周回ってまさに時代の気分を体現しているのだけれどね。

で、今回はというと。モノトーン、60's風のIライン、ミリタリーといった大きな流れは押えつつも、甘さをほとんど排除した、構築的なコレクション。いままでで一番好きかも。

ボックス・シルエットのフェルト素材のコートがクール。胸のポケットの使い方や、肩章などのミリタリーモチーフも非常に効果的。
ジェマが着ているミニドレスに見られるようなSF風のカッティングも、単なるクレージュやクワントの焼き直しになっていない。ボトムもお得意のスタイルだよね。

もう"ultra-contemporary"と呼んでも差し支えないくらい。今季のNo.1にあげるエディターがたくさんいるのも当然です。

常にヴィンテージを参照し、その雰囲気を残しつつも、決して他のデザイナーのように単なる何十年代風、というような回顧主義には収まらず、極めてコンテンポラリーな作品を発表し続けているとことが、彼の素晴らしいところ。しかも、どうしても欲しいと思わせられる、ウェアラブルなアイテムが、きちんとちりばめられている。世界でも最もファッション感度の高い(それは必ずしもセンスの良さを意味しないのだが)東京で、非常に評価が高いのもそのあたりに理由があるはず。

でもトータルではビジネス的に成功できていないのが残念。早めに黒字にして、日本にも計画が延び延びになっている路面店を作ってくださいな。









2005.04.11 Monday

2005-06AW Christian Lacroix

トレンドを意識してか、いつもよりシックなクリスチャン・ラクロワ。色とりどりのプリントは今回ももちろん健在なのだけれど、落ち着いてsmokyな感じが中心。でも、彼が作ればここまでロマンチックになるのだね。

興味を引かれた部分をいくつかあげていきますか。
まずは、今季よく用いられたフラワーモチーフであるデイジーが、ラクロワでも。ブラックに映えて、ちょっとgirlyなテイストを加えたい時には効果的なのかな。
ヴィヴィッドなカラーのベルベットのリボンが多用されていたのも、気になるディテールの一つ。ハイウェストにマークしていたり、スカートに縫いつけられていたり。
Elise Crombezが着ているスタイリングの着物風の柄もおもしろい。
ファーも多かった。コートやジャケットにトリミングされているものが目立ちました。秋冬とはいえ、ラクロアでこんなにファーを見たのは初めてのよーな気もする(笑)。
tinyなジャケット&パンツのスタイルはクールだ。

いつものように、終盤には美しいドレスたちが登場。やはりラクロワのairlyなドレスは素晴らしい。LVMHグループを離れることが正式に決定して最初のプレタ。夏のオートクチュールでも変わらず良い作品を発表してほしいと切に思った、今季のクリスチャン・ラクロワでした。











2005.04.10 Sunday

2005-06AW LOUIS VUITTON

パリの最後、つまり今回のコレクション・サーキットのトリを飾ったのがルイ・ヴィトン。デザイナー=マーク・ジェイコブス自身のシグニチャーと同様、ダークカラーが中心に。思えばNYのオープニングを務めた彼のコレクションは、なかなか衝撃的だったけれど、それが今季の大きなトレンドとなっていたのだよね。

ヴィトンでは、より構築的でエレガントなクチュール・ルックが登場。

クリストフル・バレンシアガを思い起こさせる、立体的なシルエット。膨らんだバックとか、ショールと一体化したような襟とか。

コートやジャケットは、ウェストは高めでタイトだが、スリーブにボリュームを持たせていたり。トレンドの一つであるクラシックなペプラム・ジャケットなんかもそうですね。そこにペンシル・スカートを合わせるスタイリング。クロコダイルやアストラカンといった豪華な素材を贅沢につかってます。コートもジャケットもベルテッドでウェストをマークしているものが多い。

この春夏のキャンペーンでフィーチュアされているユマ・サーマンも登場。前回のシャネルのニコールに匹敵する超A級セレブだけに(しかも僕の最初に好きになったハリウッド女優!)、メディアが殺到。怪我人まで出たとか出ないとか。

ヴィトンといえば、やはりバッグに注目しないわけにはいけないということで。
ミンクやパイソン、チュールといった様々な素材を、アール・デコ調のチェーンやストーン付きのストラップ、ヴィンテージ風の留め金などと合わせた、いままでにないシックな雰囲気。ゴールドのモノグラムがちょっとデカダンスな気分を誘う、ルイ・ヴィトンでした。











2005.04.07 Thursday

2005-06 CHANEL

5月には、NYのメトロポリタン美術館での大回顧展が控えているシャネル。
今回カール・ラガーフェルフドが提案したのは、ツイードのジャケット、コートや膝丈のスカートといったいつものアイテムに、スパッツやニット帽、キャスケット、マフラーなどを取り入れたレイヤード・スタイル。いつもに較べると、ふんわりした雰囲気がします。なんだかあったかそうな。

カメリアやリボンといったいつものディテールも随所にちりばめられています。でもツイードのtextureに組み込まれていたりと、モチーフの単なる使い回しに終わらないところはさすが。

Knickerbockersなスタイリングもおもしろい。今季のトレンドの一つである60'sテイストなAラインのドレスやワンピースもいくつか。カルメン・カースが着ているワンピースなんかは、マリー・クワントっぽいよね。

ショートなツイード・コートに膝丈のスカート、太腿まですっぽり包むサイハイ・ブーツにキャスケットというコーティネイトもcuteだ。オーバーサイズのテーラード・ジャケットに白いシャツ、タイというギャルソン・ルックも。やはりジャケッタはこのスタイルが特にお似合いです。

でもやはりマリアカルラが一番かわいい。なにせラガーフェルドが自ら抜擢したモデルだからね。そういえば、最近はあんまりカール大帝発掘のモデルが大ブレイクしてないかも。

あれ、なんだか服のレビューなんだかモデル・ウォッチなんだかわからなくなってきたぞ(笑)。

今回も色んなツイードが登場したけれど、やっぱりモノトーンが一番らしくて素敵だなあと改めて感じたシャネルでした。







2005.04.05 Tuesday

2005-06AW VIKTOR&ROLF

ヴィクター&ロルフは、トーリ・エイモスの演奏する(なぜか)クラシックとともに。

テーマの一つは、夢遊病?ちょっと寝不足そうなモデルたちは、極端に広がったねぐせっぽいヘアスタイルに、まるでシーツや枕カバーのように誇張された、レースの白いシャツ。終盤には、Hana Soukupovaがほんとに枕がささった深紅のガウンで登場。案外便利で寝心地良かも(笑)。そのまま仰向けになってお休みなさい。

ウェストは絞りながらも、トップはギャザーやレースがあしらわれ、ボリュームたっぷり。合わせてみると、とても綺麗なシルエット。
いつものように、フリルや英国刺繍がディテールで効果的に使われています。
ドレスやジャケット、スカートはいつもよりタイトな印象。
後半は、彼らのsignatureである、タキシード・スタイルが登場。
トリミングがフリルなピーコートもおもしろい。

ラストは"I Love You"と赤く綴られた文字が浮かぶ、甘いウェディングドレス。

今季他では見られない、夢見心地でロマンティックな素晴らしいコレクションを見せてくれた、ヴィクター&ロルフでした。















2005.04.03 Sunday

2005-06AW LANVIN

いまだにYves Sant-Laurentの正統な後継者であると、僕が信じて疑わない、アルベール・エルバスによるランバン

オレンジのベルベットのドレスで幕開け。同素材のワンピースも素敵だ。しかし、基調となるカラーはあくまでブラック。おなじみの洗練されたシルエットが引き立ってます。また、黒を使った効果なのか、いつもより強くてセクシー。興味深いのは、バレリーナ風のキャミソールをシースルーのチュールシャツとレイヤリングし、ボトムはペンシル・スカートをあわせるスタイリング。カレン・エルソンが着た、ダークブルーのベルベットのペンシル・スカートとの組み合わせが秀逸。この秋冬のトレンド同様、ハイウェストが基本です。フル・スカートやコートはフィット&フレアで、今季の気分そのまま。

中盤に数点並んだフラワー・プリントのドレスは正直よろしくない。今シーズンは、フラワー・モチーフが多いのだけれど、良いと思えるものはそれほどないような。

それはさておき、エルバスのクリエイションの真骨頂が見られるのは、なによりも、その美しく品格のあるドレス。終盤の一連の作品は、もうタメイキモノ。深いブルーが印象的。こういうsimpleでmodestだが、文句のつけようもなく美しい、しかもビジネス的にも成功できるドレスを作れるデザイナーは、そういません。
今季通してみても、ヴィクター&ロルフと並んで、僕のお気に入りのコレクション。見ているだけで、良い気分だ。

個人的なベストは、マリアカルラの着たブルーのボトムがフレアに強調されたバレリーナ風のワンピース・ドレス。単にモデルがfavouriteだからという理由かもしれないけど。でも、どうしようもなく可愛いよね。

最後に登場したご本人、鳥の巣みたいな髪を切ったのだね。しかし、狙ってるんじゃないかっていうくらいのポージングだな(笑)。















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