2005.11.14 Monday
2006SS Louis Vuitton
1ヶ月以上に渡るコレクション・サーキットの最後を飾ったのは、ルイ・ヴィトン。シャンゼリゼの「メゾン・ルイ・ヴィトン」のグランド・オープンの前夜祭となりました。
会場は、グラン・パレ同様に改修工事が完了したプチ・パレ。LVMHの首脳陣はもちろん、ファレル・ウィリアムズにイヴ、ユマ・サーマン、サルマ・ハエック、シャロン・ストーン、ウィノナ・ライダー(!!)、ジェイド・ジャガーといった大量のセレブリティが訪れる中、こけら落としにふさわしい、カラフルでハッピーなコレクションを見せてくれました。NIGO&牧瀬里穂も紛れてますが(笑)。
ナバホ族の絨毯にインスパイアされたという、カラーブロックの作品が特に印象的。フランスのトリコロールをモチーフにしたマルチカラーのシャツ、プラスティックやジュエリーで豪華に飾られたワンピース。トップで登場したトリッシュ・ゴフの黒い大きな刺繍がアクセントになっている白のミニは、まるでマリー・クワントのよう。プリントやアクセサリーの合わせ方も、カルダンやラバンヌの80年代を思い起こさせます。ビーズやカラーストーンの使い方とか、ちょっとプラダっぽい雰囲気のものもあったけどね。
渡辺杏のピンクのトレンチから並んだ一連のパテントレザーの作品はボディコンシャスで完全に80'sの雰囲気。ワンショールダーのトップスも少し気になるアイテムです。
村上隆によるバッグなどの小物ももちろん充実。今季NYやミラノでも頻繁に見られたるネクタイがここでも登場。ただし、ナロータイではなく、Aラインに広がるフォルムが個性的。リリー・ドナルドソンのプラスティックなネオンカラーのグローブも新鮮。シューズも、見飽きるほど登場したプラットフォームではなく、シャープなフォルムのカラフルなヒールが中心。パーツごとに色を切り替えているのも素敵です。
ショーの後は、同じプチ・パレで大パーティ。ヴィトンの神殿と評しても過言ではない程の異様な荘厳さを湛えた「メソン・ルイ・ヴィトン」のオープンと合わせて、ひたすら"FUN"に徹した帝国の圧倒的なパワーとマーク・ジェイコブスの才能を感じさせた、ルイ・ヴィトンでした。
会場は、グラン・パレ同様に改修工事が完了したプチ・パレ。LVMHの首脳陣はもちろん、ファレル・ウィリアムズにイヴ、ユマ・サーマン、サルマ・ハエック、シャロン・ストーン、ウィノナ・ライダー(!!)、ジェイド・ジャガーといった大量のセレブリティが訪れる中、こけら落としにふさわしい、カラフルでハッピーなコレクションを見せてくれました。NIGO&牧瀬里穂も紛れてますが(笑)。
ナバホ族の絨毯にインスパイアされたという、カラーブロックの作品が特に印象的。フランスのトリコロールをモチーフにしたマルチカラーのシャツ、プラスティックやジュエリーで豪華に飾られたワンピース。トップで登場したトリッシュ・ゴフの黒い大きな刺繍がアクセントになっている白のミニは、まるでマリー・クワントのよう。プリントやアクセサリーの合わせ方も、カルダンやラバンヌの80年代を思い起こさせます。ビーズやカラーストーンの使い方とか、ちょっとプラダっぽい雰囲気のものもあったけどね。
渡辺杏のピンクのトレンチから並んだ一連のパテントレザーの作品はボディコンシャスで完全に80'sの雰囲気。ワンショールダーのトップスも少し気になるアイテムです。
村上隆によるバッグなどの小物ももちろん充実。今季NYやミラノでも頻繁に見られたるネクタイがここでも登場。ただし、ナロータイではなく、Aラインに広がるフォルムが個性的。リリー・ドナルドソンのプラスティックなネオンカラーのグローブも新鮮。シューズも、見飽きるほど登場したプラットフォームではなく、シャープなフォルムのカラフルなヒールが中心。パーツごとに色を切り替えているのも素敵です。
ショーの後は、同じプチ・パレで大パーティ。ヴィトンの神殿と評しても過言ではない程の異様な荘厳さを湛えた「メソン・ルイ・ヴィトン」のオープンと合わせて、ひたすら"FUN"に徹した帝国の圧倒的なパワーとマーク・ジェイコブスの才能を感じさせた、ルイ・ヴィトンでした。
2005.11.13 Sunday
2006SS Christian Dior
ムッシュ・ディオールの生誕100年の記念すべきコレクションとなったクリスチャン・ディオール。
大改修工事を終えガラス張りとなったグラン・パレのこけら落としとなった今回のコレクションで、デザイナーのジョン・ガリアーノが選んだテーマは「ヌード」。原点に戻った、本当に美しいヌード・カラーのドレスを見せてくれました。
カラーはトレンドカラーでもあるヌード・ベージュ一色。シルエットやフォルムもとてもシンプル。しかしクチュールメゾンの技が細部に宿った作品になっています。
もちろんこの動きに関しては、ビジネスの一層の強化という側面が強いも事実。STYLE.COMでも指摘されているように、今夏のCFDA Awardsでケイト・モスが着ていたヌードカラーにブラックのレースをあしらったコルセット風のワンピースがベースのアイデアになっている様子。
このブラックレース・オン・ヌードカラーというアイデアは、ドレスにとどまらず、ジャケットやビスチェビキニ、ジーンズと豊富。定番のサドル・バックと合わせて、そのまま街に出かけていきたくなりそう。
ただし、ドレスもワンピースも、よりドレイプを効かせて動きのあるフェミニンな雰囲気にまとめています。終盤に見られた、ヌードベージュからオレンジやピンクへのと変化するグラデーションのドレスやトップスがとても美しい。ブラウンやカーキのジャケットやコート、パンツとのスタイリングはかなり好きです。
コルセットやポケットの刺繍やをほどこしたトロンプロイユなディテールもおもしろいね。実際のポケットも、透ける素材と合わさって、トレンチコートなどでデザインのアクセントになっていたりします。
いつものような奇抜なメイクもショーの演出もなし。点数こそ少ないものの、まさに原点回帰の素晴らしいコレクションで新たな決意を感じさせた、ジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオールでした。
大改修工事を終えガラス張りとなったグラン・パレのこけら落としとなった今回のコレクションで、デザイナーのジョン・ガリアーノが選んだテーマは「ヌード」。原点に戻った、本当に美しいヌード・カラーのドレスを見せてくれました。
カラーはトレンドカラーでもあるヌード・ベージュ一色。シルエットやフォルムもとてもシンプル。しかしクチュールメゾンの技が細部に宿った作品になっています。
もちろんこの動きに関しては、ビジネスの一層の強化という側面が強いも事実。STYLE.COMでも指摘されているように、今夏のCFDA Awardsでケイト・モスが着ていたヌードカラーにブラックのレースをあしらったコルセット風のワンピースがベースのアイデアになっている様子。
このブラックレース・オン・ヌードカラーというアイデアは、ドレスにとどまらず、ジャケットやビスチェビキニ、ジーンズと豊富。定番のサドル・バックと合わせて、そのまま街に出かけていきたくなりそう。
ただし、ドレスもワンピースも、よりドレイプを効かせて動きのあるフェミニンな雰囲気にまとめています。終盤に見られた、ヌードベージュからオレンジやピンクへのと変化するグラデーションのドレスやトップスがとても美しい。ブラウンやカーキのジャケットやコート、パンツとのスタイリングはかなり好きです。
コルセットやポケットの刺繍やをほどこしたトロンプロイユなディテールもおもしろいね。実際のポケットも、透ける素材と合わさって、トレンチコートなどでデザインのアクセントになっていたりします。
いつものような奇抜なメイクもショーの演出もなし。点数こそ少ないものの、まさに原点回帰の素晴らしいコレクションで新たな決意を感じさせた、ジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオールでした。
2005.11.06 Sunday
2006SS Yves Saint Laurent Rive Gauche
3シーズン目を迎えたステファノ・ピラーティによるイヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ。
ピカソをはじめとするダダやスペインにインスパイアされたという今シーズン。サンローラン御大の1976年のスパニッシュ・コレクションにも影響を受けているのでしょう。サンローラン時代の雰囲気を最高にモダンなスタイルで21世紀に蘇らせています。
シルエットは基本的にシャープ。冒頭に登場したマタドール風のパンツ・スーツスタイルや後半に並んだ往年のタキシードスタイルなど。そして細めのベルトでマークされたハイ・ウェストによって描かれる体のラインがとてもフェミニン。
今回のカラーパレットはともかく黒。ただし、シャツやスカートのセンターラインを飾るラッフル、裾に踊るペプラム、そしてスカートの両翼やカーディガンの縁、スカーフまで様々なアイテムに用いられた大小のシフォンのポンポンといったディテールがコレクション全体にフェミニンさと軽さを加えています。ヒップラインを強調するチューリップ・スカートも多く見られました。
終盤には素晴らしいドレスが並びました。マリアカルラのワインレッドのドレスはトップスのラッフルとガウンという組み合わせ。続くソランジェ(実は今後の更にブレイクするんじゃないかと踏んでます)のピンクのタンゴ風のドレスもゴージャス。
足元を飾るプラットフォーム・シューズはヒットしそうな気配。金銀線の細工を施し、ベルベットのリボンで飾ったバッグも気になるアイテムのひとつ。
なかなかスピーディにビジネスを軌道に乗せられないようですが、着実にメゾンの力を取り戻していると思います。ステファノ・ピラーティの今後の手腕に更に期待のかかるYSL Rive Gaucheでした。
ピカソをはじめとするダダやスペインにインスパイアされたという今シーズン。サンローラン御大の1976年のスパニッシュ・コレクションにも影響を受けているのでしょう。サンローラン時代の雰囲気を最高にモダンなスタイルで21世紀に蘇らせています。
シルエットは基本的にシャープ。冒頭に登場したマタドール風のパンツ・スーツスタイルや後半に並んだ往年のタキシードスタイルなど。そして細めのベルトでマークされたハイ・ウェストによって描かれる体のラインがとてもフェミニン。
今回のカラーパレットはともかく黒。ただし、シャツやスカートのセンターラインを飾るラッフル、裾に踊るペプラム、そしてスカートの両翼やカーディガンの縁、スカーフまで様々なアイテムに用いられた大小のシフォンのポンポンといったディテールがコレクション全体にフェミニンさと軽さを加えています。ヒップラインを強調するチューリップ・スカートも多く見られました。
終盤には素晴らしいドレスが並びました。マリアカルラのワインレッドのドレスはトップスのラッフルとガウンという組み合わせ。続くソランジェ(実は今後の更にブレイクするんじゃないかと踏んでます)のピンクのタンゴ風のドレスもゴージャス。
足元を飾るプラットフォーム・シューズはヒットしそうな気配。金銀線の細工を施し、ベルベットのリボンで飾ったバッグも気になるアイテムのひとつ。
なかなかスピーディにビジネスを軌道に乗せられないようですが、着実にメゾンの力を取り戻していると思います。ステファノ・ピラーティの今後の手腕に更に期待のかかるYSL Rive Gaucheでした。
2005.11.06 Sunday
2006SS Viktor & Rolf
ジョン・ガリアーノのシグニチャーやクリスチャン・ディオールのようなスペクタクルではないものの、いつもサプライズなショーを見せてくれるヴィクター&ロルフ。
今回は、照明が落ちたところに、まずデザイナー・デュオが登場。一礼したかと思うと、ダイアナ・ロスの"Upside Down"が流れ、モデルが拍手しながら登場。そう、今回のテーマは全てが「逆さま=Upside Down」。"Fashion is running out of time. We are going too fast. Originality and patience is the only way to go forward" という彼らのメッセージが込められているそう。まあ、ヴィクター&ロルフにダイアナ・ロスは全然似合わないけどね(笑)。
逆さまになっているのはショーのオーダーに止まりません。モデルの纏う服も、全部逆さま。ジャケットがパンツに、パンツがボレロに。サテン・ガウン、ベストやペチコートなどありとあらゆるアイテムが上下や前後ろが逆だったり、トップスとボトムが入れ替わっていたり、腕を首の穴に通したり。コーヒー色の美しいグラデーションのキャミソールを「履いた」マリアカルラもこの表情(笑)。おもしろいのは、「正しく」着たモデルと交互に見せてくれるところ。さすがに逆さまのものだけずらずら並んだら、わけがわからないからね。逆さまに着たモデルの後に、ねじれて着させられたモデルが続く作品もありますが。ジュリア・ステグナー(逆さま)とキャロライン・トレンティーニ(ねじれ)のモスグリーンのドレスみたいに。写真も並べて紹介しているので、見比べてみてくださいな。
そんなちょっとやり過ぎな前半が一巡すると、後半はきちんとしたスタイリングでモデルが登場。普通に着ればどれも実に美しいリアル・クローズであることがわかります。フェミニンなキャミソール風のワンピースや、アースカラーのアイテムも春らしくてかわいいです。ちょっとサファリなテイストの作品もいくつか。
でもやはりヴィクター&ロルフといえばタキシード・ジャケット。いつも通りの完璧なテーラリング。大きなワッフルのシャツも健在。
ラストに再びUpside Down。ジェシカ・スタムとカルメン・カースはトップスとボトムが逆さまになってます。
どうやって着せたのだろうとか、どういう作りの服なんだろうとか、色々気になるところはあるものの、楽しませてもらったヴィクター&ロルフでした。
今回は、照明が落ちたところに、まずデザイナー・デュオが登場。一礼したかと思うと、ダイアナ・ロスの"Upside Down"が流れ、モデルが拍手しながら登場。そう、今回のテーマは全てが「逆さま=Upside Down」。"Fashion is running out of time. We are going too fast. Originality and patience is the only way to go forward" という彼らのメッセージが込められているそう。まあ、ヴィクター&ロルフにダイアナ・ロスは全然似合わないけどね(笑)。
逆さまになっているのはショーのオーダーに止まりません。モデルの纏う服も、全部逆さま。ジャケットがパンツに、パンツがボレロに。サテン・ガウン、ベストやペチコートなどありとあらゆるアイテムが上下や前後ろが逆だったり、トップスとボトムが入れ替わっていたり、腕を首の穴に通したり。コーヒー色の美しいグラデーションのキャミソールを「履いた」マリアカルラもこの表情(笑)。おもしろいのは、「正しく」着たモデルと交互に見せてくれるところ。さすがに逆さまのものだけずらずら並んだら、わけがわからないからね。逆さまに着たモデルの後に、ねじれて着させられたモデルが続く作品もありますが。ジュリア・ステグナー(逆さま)とキャロライン・トレンティーニ(ねじれ)のモスグリーンのドレスみたいに。写真も並べて紹介しているので、見比べてみてくださいな。
そんなちょっとやり過ぎな前半が一巡すると、後半はきちんとしたスタイリングでモデルが登場。普通に着ればどれも実に美しいリアル・クローズであることがわかります。フェミニンなキャミソール風のワンピースや、アースカラーのアイテムも春らしくてかわいいです。ちょっとサファリなテイストの作品もいくつか。
でもやはりヴィクター&ロルフといえばタキシード・ジャケット。いつも通りの完璧なテーラリング。大きなワッフルのシャツも健在。
ラストに再びUpside Down。ジェシカ・スタムとカルメン・カースはトップスとボトムが逆さまになってます。
どうやって着せたのだろうとか、どういう作りの服なんだろうとか、色々気になるところはあるものの、楽しませてもらったヴィクター&ロルフでした。
2005.10.31 Monday
2006SS Givenchy
素晴らしかった2005-06AWオートクチュールに続き、期待の中ついにRTWデビューとなるリカルド・ティッシによるジバンシィ。
7月クチュールの黒とは対象的に、真っ白く塗りつくされた会場で行われた、純白のコレクション。招待状には、ユベール・ド・ジバンシィが50年代に発表したトロンプロイユのスカーフがプリントされていたようです(左の人が抱えている)。
モデルは全員、前髪を上げたストレートヘア。目の周りを黒く縁取った、アンドロイドっぽい雰囲気のメイク。真っ白く塗りつくされた会場をぐるぐると回り、中央に配置されたソファに座っていくというプレゼンテーションに近い形式で発表されました。
ゴシックなディテールを、80年代のティエリー・ミグレーやアズディン・アライアを思わせる未来的でタイトなシルエットとマテリアルの中に表現。ベースとなっているAラインやYライン、Hラインといった50年代のクラシックなスタイルに加味されて、エレガンスとフューチャリスティックなゴシックが混在する、唯一無比な世界が作り出されています。
つま先の部分が開き、足首をベルトで覆う、古代ギリシアやローマを思わせるプラットフォーム・シューズが興味深い。中盤ではゴールドに輝くシューズが登場。
春夏といえば必ずと登場する鮮やかなカラーも、今季のトレンドであった刺繍をはじめとするロマンティックなディテールも殆ど見せず、そしてどのメゾンでもコアビジネスとなっているバッグもモデルに持たせないという、ストイックなまでに服の形とシルエットのプレゼンテーションにこだわった意欲的なコレクション。ティッシの友人であり、ミューズであるマリアカルラと、ショーの最後に抱き合って泣いているのが印象的でした。
個人的にはティッシも好きだし、コレクションとしても良く出来ていたと思うのだけれど、STYLE.COMで指摘されているように、フレグランスやコスメでリブ・タイラーをキャラクターにしているとは思えないような前衛性。ブランドとしてトータルな視点から考えた時、誰に向けてメッセージを発しているのか、いまいちよくわからない部分があります。でもこれって、ユベール・ド・ジバンシィ御大が引退して以来、いまだに解決していない問題なのだよね。この10年で、ジョン・ガリアーノ(1995〜96)、アレクサンダー・マックイーン(1996〜2000)、ジュリアン・マクドナルド(2001〜2004)、と4人のそれぞれ相当に個性の異なるデザイナーたちが担当してきて、誰も明確な新しいジバンシィのスタイルを確立せずに去っていったのだから。
でも、ティッシのジバンシィってなにか合っているような気がします。まだそれが何なのかはわからないけれど。だから、もう少し長い目で見てみたいところ。そんなことを思ったジバンシィでした。
ショーの後には、Vogue Paris主催のパーティが開かれたようです。写真はFrench Vougeのカリーヌ・ロワトフェルド編集長、リカルド・ティッシ、マリアカルラの3ショット。
7月クチュールの黒とは対象的に、真っ白く塗りつくされた会場で行われた、純白のコレクション。招待状には、ユベール・ド・ジバンシィが50年代に発表したトロンプロイユのスカーフがプリントされていたようです(左の人が抱えている)。
モデルは全員、前髪を上げたストレートヘア。目の周りを黒く縁取った、アンドロイドっぽい雰囲気のメイク。真っ白く塗りつくされた会場をぐるぐると回り、中央に配置されたソファに座っていくというプレゼンテーションに近い形式で発表されました。
ゴシックなディテールを、80年代のティエリー・ミグレーやアズディン・アライアを思わせる未来的でタイトなシルエットとマテリアルの中に表現。ベースとなっているAラインやYライン、Hラインといった50年代のクラシックなスタイルに加味されて、エレガンスとフューチャリスティックなゴシックが混在する、唯一無比な世界が作り出されています。
つま先の部分が開き、足首をベルトで覆う、古代ギリシアやローマを思わせるプラットフォーム・シューズが興味深い。中盤ではゴールドに輝くシューズが登場。
春夏といえば必ずと登場する鮮やかなカラーも、今季のトレンドであった刺繍をはじめとするロマンティックなディテールも殆ど見せず、そしてどのメゾンでもコアビジネスとなっているバッグもモデルに持たせないという、ストイックなまでに服の形とシルエットのプレゼンテーションにこだわった意欲的なコレクション。ティッシの友人であり、ミューズであるマリアカルラと、ショーの最後に抱き合って泣いているのが印象的でした。
個人的にはティッシも好きだし、コレクションとしても良く出来ていたと思うのだけれど、STYLE.COMで指摘されているように、フレグランスやコスメでリブ・タイラーをキャラクターにしているとは思えないような前衛性。ブランドとしてトータルな視点から考えた時、誰に向けてメッセージを発しているのか、いまいちよくわからない部分があります。でもこれって、ユベール・ド・ジバンシィ御大が引退して以来、いまだに解決していない問題なのだよね。この10年で、ジョン・ガリアーノ(1995〜96)、アレクサンダー・マックイーン(1996〜2000)、ジュリアン・マクドナルド(2001〜2004)、と4人のそれぞれ相当に個性の異なるデザイナーたちが担当してきて、誰も明確な新しいジバンシィのスタイルを確立せずに去っていったのだから。
でも、ティッシのジバンシィってなにか合っているような気がします。まだそれが何なのかはわからないけれど。だから、もう少し長い目で見てみたいところ。そんなことを思ったジバンシィでした。
ショーの後には、Vogue Paris主催のパーティが開かれたようです。写真はFrench Vougeのカリーヌ・ロワトフェルド編集長、リカルド・ティッシ、マリアカルラの3ショット。
2005.10.30 Sunday
2006SS Rochas
2005-06AWで抜群のコレクションを見せてくれた、オリヴィエ・ティスケンスによるロシャス。その優雅な繊細さと厳格さという、女性の2面性を同居させたような路線に、変わりはないようです。
super-chicなブラックのパンツ・スーツで幕を開けた今回。先シーズンに続きフルレングスのスカートに焦点を当てつつも、冒頭のような少しウォッシュド加工の施されたパンツ・スーツも多く見られたのが、これまでとの大きな変化です。
2005-06AWのロマンティックなエドワーディアン・スタイルは加え、同じロングのガウン・コートやロング・スカートでも、ハイネックのヴィクトリアンなブラウスやシャツを合わせた禁欲的なスタイリング。
ドレスはキャップ・スリーブが印象的。デコルデはきっちり隠されて控えめ。しかし、ランウェイを戻っていくモデルを見ると、後ろ身頃は大胆にベアバック。キャップスリーブの効果でまるで天使のよう。静謐さの中に、確かな強さを感じます。
今回はモネの「睡蓮」に着想を得たという作品もいくつか。刺繍といった明確な使われ方だけでなく、深い青のドレスに波打つシフォンといった形でも表現されているようです。ラストのドレス2点など。
個人的には中盤のジェマのグリーンのベアバックのシルクのドレスがベスト。
ヴァイオリン・ケースをモチーフにしたバッグも興味深いアイテム。意味もなく欲しい(笑)。
ゆっくりと自分のペースでロシャスの歴史を吸収し、進化させていくオリヴィエ・ティスケンスのロシャスでした。
super-chicなブラックのパンツ・スーツで幕を開けた今回。先シーズンに続きフルレングスのスカートに焦点を当てつつも、冒頭のような少しウォッシュド加工の施されたパンツ・スーツも多く見られたのが、これまでとの大きな変化です。
2005-06AWのロマンティックなエドワーディアン・スタイルは加え、同じロングのガウン・コートやロング・スカートでも、ハイネックのヴィクトリアンなブラウスやシャツを合わせた禁欲的なスタイリング。
ドレスはキャップ・スリーブが印象的。デコルデはきっちり隠されて控えめ。しかし、ランウェイを戻っていくモデルを見ると、後ろ身頃は大胆にベアバック。キャップスリーブの効果でまるで天使のよう。静謐さの中に、確かな強さを感じます。
今回はモネの「睡蓮」に着想を得たという作品もいくつか。刺繍といった明確な使われ方だけでなく、深い青のドレスに波打つシフォンといった形でも表現されているようです。ラストのドレス2点など。
個人的には中盤のジェマのグリーンのベアバックのシルクのドレスがベスト。
ヴァイオリン・ケースをモチーフにしたバッグも興味深いアイテム。意味もなく欲しい(笑)。
ゆっくりと自分のペースでロシャスの歴史を吸収し、進化させていくオリヴィエ・ティスケンスのロシャスでした。
2005.10.29 Saturday
2006SS Chloe
出産&育児休暇で1シーズンをデザインチームに任せていたフィービー・フィロ復帰のシーズンとなったクロエ。
柔らかく体に沿うリアル・クローズを披露した2005-06AWとは一転、"I just wanted to do volume"というデザイナー本人の言葉どおり、構築的ながらふんわりとしたシルエットに挑戦したコレクション。
シックな60年代にインスピレーションを得たという今回は、レイヤード&ヴィンテージが中心だった前シーズンと較べて、肩から広がるクリーンな膝丈の、かなり直球のAラインの作品が目立ちます。足元は、ここでも今季の一大トレンドであるプラットフォーム・シューズ。
プラダなどを中心に見られたテーブルクロスのようなノスタルジックな刺繍やオーガンザのアップリケ、フリルなど、今シーズンのトレンドを全て詰め込み、エアリーでフェミニンなテイストにまとめています。色々な長さのリボン・ベルトもキュート。
またランバンなどと同様にネクタイもスタイリングを仕上げるキーアイテム。シャツにマイクロミニやチューリップ・スカートを合わせて。端正で確かなテーラリングのドレスやジャケットなども、忘れてはならないクロエのラインの一つです。
しかし現在のクロエを引っ張っているのは、やはりあまりに魅力的なそのバッグたち。超定番のPaddingtonの新作はもちろん、カジュアルなMarge、ジッパーがアクセントになっているトートのGladysなど充実。シンプルで機能的なEdithはウォッシュド・レザーが印象的。BettyやハードなマテリアルでキュートなフォームのPollyなども素敵です。
バッグも服も、ともかくかわいい。当分は快進撃の止まりそうにないクロエでした。
柔らかく体に沿うリアル・クローズを披露した2005-06AWとは一転、"I just wanted to do volume"というデザイナー本人の言葉どおり、構築的ながらふんわりとしたシルエットに挑戦したコレクション。
シックな60年代にインスピレーションを得たという今回は、レイヤード&ヴィンテージが中心だった前シーズンと較べて、肩から広がるクリーンな膝丈の、かなり直球のAラインの作品が目立ちます。足元は、ここでも今季の一大トレンドであるプラットフォーム・シューズ。
プラダなどを中心に見られたテーブルクロスのようなノスタルジックな刺繍やオーガンザのアップリケ、フリルなど、今シーズンのトレンドを全て詰め込み、エアリーでフェミニンなテイストにまとめています。色々な長さのリボン・ベルトもキュート。
またランバンなどと同様にネクタイもスタイリングを仕上げるキーアイテム。シャツにマイクロミニやチューリップ・スカートを合わせて。端正で確かなテーラリングのドレスやジャケットなども、忘れてはならないクロエのラインの一つです。
しかし現在のクロエを引っ張っているのは、やはりあまりに魅力的なそのバッグたち。超定番のPaddingtonの新作はもちろん、カジュアルなMarge、ジッパーがアクセントになっているトートのGladysなど充実。シンプルで機能的なEdithはウォッシュド・レザーが印象的。BettyやハードなマテリアルでキュートなフォームのPollyなども素敵です。
バッグも服も、ともかくかわいい。当分は快進撃の止まりそうにないクロエでした。
2005.10.23 Sunday
2006SS LANVIN
アルベール・エルバスによるランバン。ともかく彼のファンです。僕は。
テュイルリー宮で行われた今回のコレクションでは、いままでにないミニマリズムを見せてくれました。
シルエットは今シーズン多く見られたAラインではなく、ウェストに少し膨らみを持たせたIラインがメイン。
着物の帯にインスパイアされたというネイビーやオリーブのベルト、そしてドレス。服の立体感の出し方にどこか折り紙のような雰囲気も感じます。ブラックのサテンのレザー風トレンチも帯ベルトとのスタイリングがとてもクール。
ボトムはテイパード・パンツやタイトな膝上丈の上品でボディ・コンシャスなスカートが多く見られます。これは今季のトレンドに沿った流れですね。このスカートに帯ベルトでウェストマークしたオーバーサイズのジャケット合わせたスタイリングもおもしろい。シャツとのコーディネートでは今回のポイントとなるアイテムの一つである直線的なネクタイも。ジップアップ・ジャケットも少し気になるアイテム。
パリ・ミラノ・NY問わず見られたパテント・レザーのプラットフォーム・シューズがランバンでも足元を飾ります。。赤、ターコイズ・ブルー、エメラルド、イエローと色も豊富。パテントだけでなくベルベットやクロコ、パイソンなどもあるようです。個人的には今シーズンのシューズの中ではでベスト。こんなにエレガントなプラットフォームは見たことありません。ヒールとプラットフォーム、そしてストラップの全体のバランス感がパーフェクト。靴ってやはり彫刻とか建築、家具なんかに近い造形美が求められます。ほんとに。エルバス曰く"designing shoes like varnished cars - like a Cadillac!"みたいですが。そう、クルマもそうだね。
後半に並んだブラックのLBDたちは、エルバス−ランバンの本領発揮といった感じ。
最後に登場した赤のトレンチがまぶしい。
もう多くは語りません。写真が絞りきれなかったのでたくさん載せてしまいました。少し今シーズンのフランシスコ・コスタのカルバン・クラインに通じる部分もありますが、もちろんエルバスによるランバンが数段上。素材とクチュールの技法。そしてエレガンスを兼ね備えた、決して窮屈にはならないが、ちょっぴり厳格な一面も持ったミニマリズム。そして黒。
素敵です。
テュイルリー宮で行われた今回のコレクションでは、いままでにないミニマリズムを見せてくれました。
シルエットは今シーズン多く見られたAラインではなく、ウェストに少し膨らみを持たせたIラインがメイン。
着物の帯にインスパイアされたというネイビーやオリーブのベルト、そしてドレス。服の立体感の出し方にどこか折り紙のような雰囲気も感じます。ブラックのサテンのレザー風トレンチも帯ベルトとのスタイリングがとてもクール。
ボトムはテイパード・パンツやタイトな膝上丈の上品でボディ・コンシャスなスカートが多く見られます。これは今季のトレンドに沿った流れですね。このスカートに帯ベルトでウェストマークしたオーバーサイズのジャケット合わせたスタイリングもおもしろい。シャツとのコーディネートでは今回のポイントとなるアイテムの一つである直線的なネクタイも。ジップアップ・ジャケットも少し気になるアイテム。
パリ・ミラノ・NY問わず見られたパテント・レザーのプラットフォーム・シューズがランバンでも足元を飾ります。。赤、ターコイズ・ブルー、エメラルド、イエローと色も豊富。パテントだけでなくベルベットやクロコ、パイソンなどもあるようです。個人的には今シーズンのシューズの中ではでベスト。こんなにエレガントなプラットフォームは見たことありません。ヒールとプラットフォーム、そしてストラップの全体のバランス感がパーフェクト。靴ってやはり彫刻とか建築、家具なんかに近い造形美が求められます。ほんとに。エルバス曰く"designing shoes like varnished cars - like a Cadillac!"みたいですが。そう、クルマもそうだね。
後半に並んだブラックのLBDたちは、エルバス−ランバンの本領発揮といった感じ。
最後に登場した赤のトレンチがまぶしい。
もう多くは語りません。写真が絞りきれなかったのでたくさん載せてしまいました。少し今シーズンのフランシスコ・コスタのカルバン・クラインに通じる部分もありますが、もちろんエルバスによるランバンが数段上。素材とクチュールの技法。そしてエレガンスを兼ね備えた、決して窮屈にはならないが、ちょっぴり厳格な一面も持ったミニマリズム。そして黒。
素敵です。
2005.10.22 Saturday
2006SS Paco Rabanne
ペリー・エリス出身のパトリック・ロビンソンを迎えて2シーズン目のパコ・ラバンヌ。
素材として、なんと500ものヴィンテージの着物を取り寄せてスライスして、再構築したコレクション。つまりお店に並ぶ品には、一つとして同じものは存在しないということです。ところどころに見える花柄なども、もとの着物の柄を活かしたものなのでしょうね。ワンピースのショルダーのスリップやトップスのウェストを絞るロープも着物から取ったものでしょうか。
このメゾンが伝統的に持つフューチャリスティックな雰囲気も十分に加えられています。防弾素材を意識したゴールドのメッシュといったマテリアル使いはもちろん、そのシルエットでもパコ・ラバンヌのイメージを引き継いでいます。スカートは全て膝丈より上に。ワンピースなどはAライン。エンパイア・ラインのスカートもいくつか。そして何よりも、今回メインのカラーとなったエレクトリック・ブルーが強烈に美しい。
ボトムはかなり細身のパンツやショートやミニ丈のチューリップ・スカートが目立ちます。そしてさすがNY出身のデザイナーだけあって、ウェアラブルなスタリングもきっちり揃えています。特に白のパンツとコートは完璧。
中盤に並んだ一連の黒い服たちは、とびきりモダンでシャープなカッティング。ただしパフスリーブやエアリーなスカートとの組み合わせで、とても軽やか。
ちなみにロビンソンの奥さんは、US VOUGEのヴァージニア・スミスだったんですね。最近知りましたよ。写真の最後の1枚がご夫妻の2ショット。
2シーズン目にして非常に興味深い作品をみせてくれたパトリック・ロビンソン。また一つ、歴史あるメゾンの再生ストーリーが始まっています。
素材として、なんと500ものヴィンテージの着物を取り寄せてスライスして、再構築したコレクション。つまりお店に並ぶ品には、一つとして同じものは存在しないということです。ところどころに見える花柄なども、もとの着物の柄を活かしたものなのでしょうね。ワンピースのショルダーのスリップやトップスのウェストを絞るロープも着物から取ったものでしょうか。
このメゾンが伝統的に持つフューチャリスティックな雰囲気も十分に加えられています。防弾素材を意識したゴールドのメッシュといったマテリアル使いはもちろん、そのシルエットでもパコ・ラバンヌのイメージを引き継いでいます。スカートは全て膝丈より上に。ワンピースなどはAライン。エンパイア・ラインのスカートもいくつか。そして何よりも、今回メインのカラーとなったエレクトリック・ブルーが強烈に美しい。
ボトムはかなり細身のパンツやショートやミニ丈のチューリップ・スカートが目立ちます。そしてさすがNY出身のデザイナーだけあって、ウェアラブルなスタリングもきっちり揃えています。特に白のパンツとコートは完璧。
中盤に並んだ一連の黒い服たちは、とびきりモダンでシャープなカッティング。ただしパフスリーブやエアリーなスカートとの組み合わせで、とても軽やか。
ちなみにロビンソンの奥さんは、US VOUGEのヴァージニア・スミスだったんですね。最近知りましたよ。写真の最後の1枚がご夫妻の2ショット。
2シーズン目にして非常に興味深い作品をみせてくれたパトリック・ロビンソン。また一つ、歴史あるメゾンの再生ストーリーが始まっています。