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2006.09.09 Saturday

2007SS Dior Homme

もうコレクション発表から2ヶ月経ってしまいましたが(てゆーかレディスのNYが始まった笑)、ディオール・オムでメンズをいったん終了。とか言いながら明日あたりに余裕があったら、いくつかレディスと一緒に書くかもしれません。

エディ・スリマンとディオールとの契約更新を危ぶむ噂が流れる中、行われた今回。フォーマルやワイドなボトムのシルエットという新しい側面を打ち出した先シーズンを経て、ディオール・オムを通じてスリマンが作り上げたスタイルの集大成とも言えるコレクションを見せてくれました。

中でも魅力的なのがシルバーのシャイニーなジャケット。

シルバーのアイテムは、ここ数シーズンのディオール・オムでも目を引く存在だったけれど、今回は特に素晴らしい。スニーカーも含めたこれらのシャイニーなアイテムが、マットなブラックのパンツと組み合わされることで、モノトーンのモダニティのロックな艶やかさが加わり、ディオール・オム特有の美しさを生み出しています。International Herald Tribuneのスージー・メンケスのコメントにもある通り、時にシャイニーな、時にマットな素材使いそのものを色として用いるスリマンの才能を改めて認識した感じ。

ひとつ従来よりも印象的なことがあるとすれば、いつになくアンドロジーナスなテイストがもたらす刹那的な美しさ。

マッシュルームなヘアスタイルや、切りっぱなし丈の長い流れるようなチュニック、ドレープが施されたシルク・ジャージーのトップス、スパングルやビーズで飾られたミニマルなブルゾン、ホルターネックのようなカットソー。タイトだがボトムが少しフレア気味のAラインなコートを着たモデルは、まるで女の子のよう。低めの位置にウェストをマークするリボンベルトやジャケットのボタンが、アンドロジーナスな雰囲気を強調します。

あるいは契約交渉が難航している原因とも言われている、スリマンのシグニチャーでのレディスのクリエイションへの渇望の表れかもしれませんね。。。

来季もエディ・スリマンによる新たなクリエイションを見たいと切に感じたディオール・オムでした。









2006.08.14 Monday

2007SS Issey Miyake Mens

たぶんこのブログで取り上げるのは初めてになるはず。滝沢直己によるイッセイ・ミヤケ最後のメンズ・コレクション。

スポーツが大きなテーマとなった今季は、数字をモチーフにしたグラフィカルなプリントが印象的。シャツのフロントの"4"やパンツの"8"、ジャケットのバックの"7"などなど。

白にアクセントカラーとしてグリーンを走らせる、これみよがしではない繊細で柔らかなスポーティネスの表現が秀逸。グリーンは競技場の芝を、そして白はチョークラインのイメージ。

長めのジャケットにテーパードなパンツを合わせるスタイリング。

もちろんイッセイ・ミヤケのシグニチャーである独特の素材使いも随所に見られます。例えば、最後に登場したパジャマ風の2ピースは、日本紙を織り込みグリーンの花柄をプリントして洗いざらした作品。

会社には残って自身のラインを立ち上げるという滝沢直己の今後とともに、来季から登場する新しいデザイナーにも期待したいイッセイ・ミヤケでした。







2006.08.13 Sunday

2007SS Dries Van Noten Mens

毎シーズンどこかフォークロアだったりエキゾチックだったりするドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションですが、今回はどうやらハワイにインスピレーションを得たようです。

ピンストライプのパンツにTシャツのスタイリング。いくつか見られたサーフなテイストのショートパンツ。そして後半に登場したハイスビスカスやライアックのプリントが印象的な、ペールブルーやイエローのシャツとパンツ。

ジャケットにも合わせられた、草履っぽいフラットなサンダルが不思議な感じ(笑)。

太めのベルトでウェストをマークするコートやジャケットの程よい緊張感に対し、ボトムはゆったりしたシルエット。今季様々なメゾンで見られたグレーのスウェットパンツがここにも登場。裾がリブになっているのがポイントですね。一方で、ベルトで締めないアウターは若干ボリューム感のあるシルエット。

コレクション全体の雰囲気の基調をつくっているグレーのアイテムに、淡いイエローやブルーのプリントのアイテムをひとつ合わせるスタイリングが素敵。

個人的なベストルックは、フラワープリントのシャツにグレーのカーディガンを重ね、同じくグレーのストライプのパンツを合わせたスタイリング。黒のジャケットにグレーのTシャツ、イエローの花柄のパンツの組み合わせも捨て難いな。。。

今回のコレクションで、ファンの層が増えるんじゃないかなーという気がします。なんとなく今すぐ欲しいかも。

アントワープで育ったデザイナーの控えめなリゾート感がかなり好印象な、ドリス・ヴァン・ノッテンでした。







2006.08.13 Sunday

2007SS Kris Van Assche

エディ・スリマンとクリスチャン・ディオールの契約更新を危ぶむ噂が流れる中、後任とて名前が囁かれているクリス・ヴァン・アッシュ

リチャード・ギアの出世作「アメリカン・ジゴロ」をテーマにした今回は、スタイリングからディテールに至るまで、すべて計算した上で自分をオーガナイズする男性像を作り上げています。

そしてショーのタイトルは、"Hello Girls!”。

フロント・ロウが女性のエディター用にリザーヴされていた今回は、クリス・ヴァン・アッシュ初となるレディス・ウェアを着た女性モデルと登場したルックもいくつか。ギンガムのショーツとブラウスのペアが素敵。

ヘンリーネックや、ドローストリング付きのジャージーパンツなどお馴染みになりつつあるアイテムに、肩のラインに少し特徴のあるタイトなジャケットを合わせる定番のスタイリング。サイズはジャストですが、ラフな着こなしでジゴロっぽい遊び心のある雰囲気に。もともとのヴァン・アッシュの作品のテイストを突き詰めている部分の方が大きいとは思いますが。

モノトーンとグレー、カーキを中心としたスモーキーなカラー・パレットもいつも通りですが、今季はペール・ブルーは登場せず。変わってポロシャツやウェストポーチに用いられたレモンイエローがアクセントになっています。

ラペルをジャケットに重ねられるシャツがちょっとおもしろいですね。ベストもいつものように数点。

どちらかというと、メンズよりも今後のレディスの展開の方が気になったクリス・ヴァン・アッシュでした。








2006.08.08 Tuesday

2007SS Louis Vuitton Mens

水中をテーマにしたプロジェクションが印象的な会場で行われたルイ・ヴィトン。今季からマルタン・マルジェラに在籍していたポール・エルベール(Paul Elbers)がメインでデザインを担当しているようです。

パンツやシャツにスカーフ、そしてジャケットの裏地などに使われているハイビスカス柄が示すように、今季のテーマのひとつはハワイアン。そこに麻やシルクのジャケットを合わせ、花柄のパンツもダークなジャカードだったりとクラシックな要素を取り入れたコントラストのあるスタイリングがポイントです。

要となるジャケットは、肩にかけて着たりと、どこか80'sの雰囲気も。ゴージャスなライナーが入っていたりとディテールにもこだわりが。

そして何よりもアクセサリーが魅力的。メタリックなゴールドやシルバーのシューズ、ハイビスカス柄のキャンパス・バッグ、"Louis"マークのブローチやコサージュなど。

(会場のプレゼンテーションも含めて)なんとなくちぐはぐなところもあるけれど、案外好きかもしれません。新しいヴィトンのメンズを感じさせたポール・エルバースによる初のコレクションでした。






2006.08.08 Tuesday

2007SS Raf Simons Mens

さてようやく再開のコレクション・レヴュー。速報性は皆無ですな。。。

ジル・サンダーも好評なラフ・シモンズの今季のシグニチャーは、突き詰めたミニマリズムが記号的でさえあります。

トップスとボトムの異なるボリューム感の組み合わせが特徴的。タイトなシャツには緩めのショートパンツを、ゆったりとしたコクーンなシルエットのトップスにはスキニーなボトムを。この知的な構築性の遊びのあるシルエットこそが、シモンズのクリエイションを感じさせる要素だったりするわけですが。

シルバーのアルミホイルのようなテイストの未来的な素材使いや、色の大胆な切り返しなどで、ショートなスリーヴのシャツもアクセントのあるアイテムに。

かなり細めのストライプ柄のニットや、カラーブロックのスリーヴレスなTシャツもミニマルな雰囲気を強調する印象的なアイテム。特にカラーブロックのTシャツは、最後に登場したルックのようにジャケットと合わせことで完璧なシモンズ・スタイルに。この演出には若干感動。

そう、ジャケットもいつものように完璧に計算されたテーラリングが魅力的。

それにしてもショートパンツのバリエーションは圧巻。スクール・ボーイを思い起こさせるトラッドな柄とか良いですね。絶対履かないんですけど、ひとつくらいあっても良いんじゃないかと思うくらい。

あとグラディエイター風のサンダルも気になりますね。

最後まで通して見てふと思ったのが、モンドリアン。あの色の配置の感覚は並大抵ではありません。

少し新しい側面を垣間見たような気がする、パリにデビューして10周年のラフ・シモンズでした。










2006.07.30 Sunday

2007SS Balenciaga Mens

ようやくパリに到達。まずはインスタレーション方式での発表となった、ニコラ・ゲスキエールによるバレンシアガ

インド産の織物を使ったブレザーのようなクラシックなアイテムや、クリストフル・バレンシアガの作品からの影響を感じられるジャケットに、スキニーなレザーパンツや尖ったシューズなどでロックなテイストも加えたコレクション。

ミリタリーとサファリという今季もメインストリームのひとつとなっているトレンドもシンプルでモダンなシルエットに落とし込んでいます。

トレンチもジャケットも欲しい。。。

もう少し多く点数を用意してくれればなー、とも思いますが。シーズンに入れば他のアイテムも揃っていることを若干期待。

小柄な私には、サイズ展開的に実際に買うとなると難しい服もあるものの、お店で見るたびに相当気になっているバレンシアガなのでした。



2006.07.23 Sunday

2007SS Alessandro dell’Acqua Mens

かなりストレートなアーミールックがテーマのアレッサンドロ・デラクア

タイガーの顔を全面にプリントしたTシャツや、ゼブラ柄を大胆に取り入れたシャツやパンツなどが印象的。カーキやベージュを中心とした、サファリな雰囲気も好きな感じ。

コンバースのAll Starをアレンジしたスニーカーも気になるアイテム。特にシルバーが素敵です。

今季のミラノで多く登場した、胸元のエンブレムがここでも登場。メゾンごとに色々見れて楽しいですね。

大きなトレンドのひとつである、タイトでショートなシルエットのジャケットも豊富。ミニマルなダブルのスーツは、どのランウェイでも必ず見かけますね。。。アウターには、クロップトや少しロールアップしたパンツと合わせるのがポイント。ジップアップやニット、ポロシャツもどれも使いやすそうだし、レザーのボンバー・ジャケットも魅力的。

いつものように、トレンドをしっかり押さえた上で、モダンかつウェアラブルなコレクションを見せてくれた、アレッサンドロ・デラクアでした。






2006.07.23 Sunday

2007SS Costume National Mens

エンニョ・カパサによるコスチューム・ナショナル

いつもよりシックでクリーンな印象の今回のキーとなるアイテムは、軽やかなシャツ・ジャケットに、ガーゼのように薄く透けるニットやリネンのシャツといった、着ていることを感じさせない"naked"な服たち。

使われている色は、シャイニーなブルーにホワイト、ブラックにグレーが中心。シルエットは少し緩めだけれど、カッティングはやはりシャープで、リゾート仕様ながらどこかアーバンな雰囲気。

アビエイター風のジャケットや、ローマ時代の剣闘士を思わせるサンダル、素肌に巻くスカーフなどが印象的なアイテム。

個人的には白い光沢のあるシャツがなんとなく気になりましたねー。






2006.07.23 Sunday

2007SS Alexander McQueen Mens

もしかしたらここで取り上げるのは初めてになるかもしれない、アレクサンダー・マックイーン。色々と理由があって、あまり好きではなかったのだけれど、最近はそうでもなくなってきました。

コロニアル風の建築が印象的なレオナルド・ダ・ ヴィンチ科学技術博物館で行われた、繊細で耽美的な今回のテーマは、NYのハーレム。

それはまた同時に、あくまでトーマス・マンの原作を脚色し、美しい少年に魅入られた作曲家を描いた、1971年のルキノ・ヴィスコンティ監督による「ベニスに死す」の主題曲である、グスタフ・マーラー("MAHLER")のアナグラムとしての"HARLEM"でもあります。

ラペルを犬歯模様のパターンやチェック柄でトリミングし、イギリス刺繍を施してフェミニンなテイストを加えたジャケットは、まさに今季の繊細さを象徴する作品。一方で、マックイーンの優れたテーラリングの技術による造形が、マスキュリンなベースを提供しており、この二つの要素の完璧な融合が、今回の成功の大きな要因になっているのではないかと思います。

刺繍はジャケットだけでなくカーディガンなどにも見られ、蛾のプリントなどのディテールも印象的。

前半のカラーパレットは、淡いグレーやピンク、ブルーなどが中で、耽美的な雰囲気を効果的に演出しています。

風になびくモスリンのテントの下を歩くモデルたちは、少年の危うい刹那的な美しさを称えているかのよう。

一方で、イヴニング・ウェアではゴールドとブラックの大胆なコンストラクトにベージュを加えた組み合わせたタキシード・ジャケットを要とするスタイリングが秀逸。スパンコールで飾られたスケルトンのニットとストライプのシャツの組み合わせも素敵です。

ヴィスコンティの映画のゴージャスさ、クチュールを思わせるような美しい装飾などのディテール、ハーレムのダンディさを昇華した、今シーズンのミラノでも最も完成度の高いコレクションを見せてくれた、アレクサンダー・マックイーンでした。








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