2007.02.13 Tuesday
2007SS
ようやく2007SSのRTWは完了(諸事情によりプラダはこちらに書いています)。
これを締めないと次に進みづらくて、本当は2007SSのクチュールや2007-08AWのメンズとNYのレディスを書き始めたかったのだけれど、我慢しておりました(笑)。
本当のことをいうと、NYでは最近デザイナー本人もパーティなどで見かけるJenni Kayneをはじめ、Jason Wu、Alexandre Herchcovitch、Monique Lhuillierあたりを書きたかったのだけれどね。今回触れられなかったロンドンでは、待望のデビューを果たしたChristopher Kaneに加え、リバイバルで成功を収めつつあるBiba、そしてロンドンらしいクリエイションが魅力のBasso & BrookeやGareth Pughも興味深いところ。ミラノでは、6267が要注目。パリでは、Ann DemeulemeesterやDries van Notten、Nicolas Andreas Taralisがいつものように好きな感じでした。
今回取り上げられなかったデザイナーやメゾンについては、2007-08AWでカバーしていくということで(笑)。
明日からは2007SSのクチュールをさらっとこなして、メンズは飛ばしてレディスのNYに突入してしまおうかとちょっと考えています。
ここ数ヶ月更新が色々と遅れ気味ですが、これからもお暇な時にお付き合いくださいませ。
これを締めないと次に進みづらくて、本当は2007SSのクチュールや2007-08AWのメンズとNYのレディスを書き始めたかったのだけれど、我慢しておりました(笑)。
本当のことをいうと、NYでは最近デザイナー本人もパーティなどで見かけるJenni Kayneをはじめ、Jason Wu、Alexandre Herchcovitch、Monique Lhuillierあたりを書きたかったのだけれどね。今回触れられなかったロンドンでは、待望のデビューを果たしたChristopher Kaneに加え、リバイバルで成功を収めつつあるBiba、そしてロンドンらしいクリエイションが魅力のBasso & BrookeやGareth Pughも興味深いところ。ミラノでは、6267が要注目。パリでは、Ann DemeulemeesterやDries van Notten、Nicolas Andreas Taralisがいつものように好きな感じでした。
今回取り上げられなかったデザイナーやメゾンについては、2007-08AWでカバーしていくということで(笑)。
明日からは2007SSのクチュールをさらっとこなして、メンズは飛ばしてレディスのNYに突入してしまおうかとちょっと考えています。
ここ数ヶ月更新が色々と遅れ気味ですが、これからもお暇な時にお付き合いくださいませ。
2007.02.12 Monday
2007SS Miu Miu
パリに発表の場を移して2シーズン目となるミウッチャ・プラダによるミュウ ミュウ。
ダークなトーンのブルーとレッドのサテンのカラーパネルの組み合わせのバリーションの表現を中心に展開した今回のコレクションは、どこかロシア構築主義を思い起こさせる作品が並びます。
より抽象度を高めてフューチャリスティックにアプローチしたトライバルなプリントに、折り紙風のリボンのディテールや丸みのある小さな襟、トライアングルやサーキュラーといった幾何学的なネックラインを演出するホルターのトップス、端正で直線的なAラインのシルエット、高めにマークしたウェストとショート丈のワンピースドレスにホットパンツ。プリーツが多様されているのも印象的です。
直線と曲線をうまく組み合わせながら、エスニックに味付けされたフューチャリズムで今季のトレンドを取り入れ、プラダらしいストイックなミニマリズムを基調としつつも、ミュウ ミュウのシグニチャーとも言えるどこかドーリーでキュートな雰囲気にまとめあげているところはさすが。
結構好きです。プラダのセカンドラインという位置づけを払拭しつつあることを感じた2007SSのミュウ ミュウでした。
ダークなトーンのブルーとレッドのサテンのカラーパネルの組み合わせのバリーションの表現を中心に展開した今回のコレクションは、どこかロシア構築主義を思い起こさせる作品が並びます。
より抽象度を高めてフューチャリスティックにアプローチしたトライバルなプリントに、折り紙風のリボンのディテールや丸みのある小さな襟、トライアングルやサーキュラーといった幾何学的なネックラインを演出するホルターのトップス、端正で直線的なAラインのシルエット、高めにマークしたウェストとショート丈のワンピースドレスにホットパンツ。プリーツが多様されているのも印象的です。
直線と曲線をうまく組み合わせながら、エスニックに味付けされたフューチャリズムで今季のトレンドを取り入れ、プラダらしいストイックなミニマリズムを基調としつつも、ミュウ ミュウのシグニチャーとも言えるどこかドーリーでキュートな雰囲気にまとめあげているところはさすが。
結構好きです。プラダのセカンドラインという位置づけを払拭しつつあることを感じた2007SSのミュウ ミュウでした。
2007.02.12 Monday
2007SS Alexander McQueen
アレクサンダー・マックイーン。彼のコレクションもまた、ここでは殆ど取り上げていないですね。まあこれも基本的にLVMH派な僕のスタンスが多少影響していたりするわけですが。
回を追う毎にショーの演出が劇場的になっていく気がしますが、今回のテーマは「サラバンド」ということもあって、宮廷の舞踏会を思わせるまさにシアトリカルでクラシカルな内容です。彼の作品はさしずめ完璧に仕立てられた舞台衣装といったところ。
クリノリンやバッスルで象ったボリューム感のあるシルエット。特にヒップのラインを強調したシルエットが印象的。エドワーディアンなドレスに加え、マスキュリンなパンツスタイルも織り交ぜて魅せるロマンティックなコレクション。花をモチーフにしたディテールや小鳥が飛び交うプリントも素敵です。
こうした限りなくクチュールに近いコレクションも、ジバンシィ時代やロンドンのアトリエで続けているウェディングなどのオケージョン対応のスペシャル・オーダーのドレスの制作で培われた成果なのでしょうね。
37歳になった彼が自身について語った“The more I mature, the less confrontational I become,” he said before the show. “I’ve softened a bit in my old age”というコメントが非常に印象的だったアレクサンダー・マックイーンでした。
回を追う毎にショーの演出が劇場的になっていく気がしますが、今回のテーマは「サラバンド」ということもあって、宮廷の舞踏会を思わせるまさにシアトリカルでクラシカルな内容です。彼の作品はさしずめ完璧に仕立てられた舞台衣装といったところ。
クリノリンやバッスルで象ったボリューム感のあるシルエット。特にヒップのラインを強調したシルエットが印象的。エドワーディアンなドレスに加え、マスキュリンなパンツスタイルも織り交ぜて魅せるロマンティックなコレクション。花をモチーフにしたディテールや小鳥が飛び交うプリントも素敵です。
こうした限りなくクチュールに近いコレクションも、ジバンシィ時代やロンドンのアトリエで続けているウェディングなどのオケージョン対応のスペシャル・オーダーのドレスの制作で培われた成果なのでしょうね。
37歳になった彼が自身について語った“The more I mature, the less confrontational I become,” he said before the show. “I’ve softened a bit in my old age”というコメントが非常に印象的だったアレクサンダー・マックイーンでした。
2007.02.12 Monday
2007SS Balenciaga
ニコラ・ゲスキエールによるバレンシアガ。
実を言うと、ここ2年余りの彼のクリエイションへの評価の高まりに関しては、それなりに認めながらも若干納得いかないところがあったりして、ここで取り上げるのも2005-06AW以来という感じ。その時もウルトラ・モダンでかなりナローなシルエットを基調としながらも、どこか未来的なデザインでしたね。
今回は初めて「これは好き!」と何の迷いもなく言えます。全世界に衝撃を与えた、サイバー・クチュールなコレクション。
少し強調された肩のシャープなラインから落ちるレーザーカットされたかのような直線的で細いシルエットに、半導体の回路を思わせるようなテクスチャーのメタリックなマテリアル。オールバックのヘアスタイルにビッグ・フェイスのサングラスを着用したモデルたちはサイボーグのよう。そこにミリタリーなディテールや鎖帷子や甲冑のような意匠とゴールドやシルバーのマテリアルの組み合わせで、デコラティヴに仕上げているのもポイント。
1982年に公開された映画「トロン」に着想を得たという今回、60年代でも80年代でもない、真に21世紀なフューチャリズムを見せてくれたニコラ・ゲスキエール。彼のイマジネーションには、やはり底知れぬ何かがあると改めて感じた、2007SSのバレンシアガでした。
実を言うと、ここ2年余りの彼のクリエイションへの評価の高まりに関しては、それなりに認めながらも若干納得いかないところがあったりして、ここで取り上げるのも2005-06AW以来という感じ。その時もウルトラ・モダンでかなりナローなシルエットを基調としながらも、どこか未来的なデザインでしたね。
今回は初めて「これは好き!」と何の迷いもなく言えます。全世界に衝撃を与えた、サイバー・クチュールなコレクション。
少し強調された肩のシャープなラインから落ちるレーザーカットされたかのような直線的で細いシルエットに、半導体の回路を思わせるようなテクスチャーのメタリックなマテリアル。オールバックのヘアスタイルにビッグ・フェイスのサングラスを着用したモデルたちはサイボーグのよう。そこにミリタリーなディテールや鎖帷子や甲冑のような意匠とゴールドやシルバーのマテリアルの組み合わせで、デコラティヴに仕上げているのもポイント。
1982年に公開された映画「トロン」に着想を得たという今回、60年代でも80年代でもない、真に21世紀なフューチャリズムを見せてくれたニコラ・ゲスキエール。彼のイマジネーションには、やはり底知れぬ何かがあると改めて感じた、2007SSのバレンシアガでした。
2007.02.05 Monday
2007SS Christian Dior
このところRTWでは、すっかりリアル・クローズな路線が定着した感のある、ジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオール。
ガリアーノがデザイナーに就任して10周年を迎えた今回ですが、彼の手がけたコレクションの中でも、最もシックでシンプル、かつモデストな作品になっているのではないかと思います。BGMに選ばれたクリスティーナ・アギレラの最新作のタイトルのとおり、まさに"Back to Basics"なコレクション。
クチュールのテクニックを存分に用いながらも、コットンやシルク、レザーといったベーシックな素材をシンプルなシルエットに仕上げ、グレーやピンク、クリーム、モスグリーンといった淡いトーンの色使いが、落ち着いた印象を与えます。
スパンコールやラインストーンのロマンチックな装飾も主張し過ぎないバランス感が素晴らしい。そして、2006-07AWのクチュールで見せた甲冑のようなデザインが、刺繍やショルダーやペプラムにかけてのディテールなどに形を変えて登場し、エレガントな雰囲気を演出していることも忘れてはならない要素。
それにしても圧巻なのは、シルクのロングドレスの優雅な美しさ。
まだ10年。2007SSのクチュールでは、圧倒的なイマジネーションとクリエイティヴティを改めて見せつけてくれたジョン・ガリアーノに、次の10年への期待感が一層高まったクリスチャン・ディオールでした。
ガリアーノがデザイナーに就任して10周年を迎えた今回ですが、彼の手がけたコレクションの中でも、最もシックでシンプル、かつモデストな作品になっているのではないかと思います。BGMに選ばれたクリスティーナ・アギレラの最新作のタイトルのとおり、まさに"Back to Basics"なコレクション。
クチュールのテクニックを存分に用いながらも、コットンやシルク、レザーといったベーシックな素材をシンプルなシルエットに仕上げ、グレーやピンク、クリーム、モスグリーンといった淡いトーンの色使いが、落ち着いた印象を与えます。
スパンコールやラインストーンのロマンチックな装飾も主張し過ぎないバランス感が素晴らしい。そして、2006-07AWのクチュールで見せた甲冑のようなデザインが、刺繍やショルダーやペプラムにかけてのディテールなどに形を変えて登場し、エレガントな雰囲気を演出していることも忘れてはならない要素。
それにしても圧巻なのは、シルクのロングドレスの優雅な美しさ。
まだ10年。2007SSのクチュールでは、圧倒的なイマジネーションとクリエイティヴティを改めて見せつけてくれたジョン・ガリアーノに、次の10年への期待感が一層高まったクリスチャン・ディオールでした。
2007.02.05 Monday
2007SS Louis Vuitton
さて2007-08AWのレヴューをする前に!残っている2007SSもショートにコメントしていきますよ(笑)。
フューチャリズムの嵐が吹き荒れた2007SSですが、ロマンティシズムを全面に押し出したのが、マーク・ジェイコブスによるルイ・ヴィトン。
後程書きますが、アレクサンダー・マックーンやクリスチャン・ディオールも同様の方向性ですね。いずれのメゾンも花をモチーフにしたフェミニンなコレクションを見せているのも共通点と言えるかも。
ヴィトンではモデル全員が花飾りが印象的なヘアバンドを身につけ、花束をいっぱいに詰めたショッピングバッグやトートバッグも登場。
シルクやチュール、オーガンジーなどの軽い素材やオックスフォード風のシャツの生地などメンズライクでカジュアルな素材にクチュールのテクニックを用いて、フェミニンなシルエットを形作ったり、テーラード・ジャケットではパフスリーヴなどでヴィクトリアンな要素を見せたりと、今回も様々な面を融合させた興味深いコレクションになっています。18世紀のアーカイヴに着想を得たというリバティプリントもポイント。
"LV"のモノグラムに"O"と"E"を加えて"LOVE"へと変化したロゴをつけたトートバッグやTシャツは、ご愛嬌だけれど、ある意味今回のルイ・ヴィトンの気分を最もわかりやすく表現したアイテムと言えるかも。
でも今回の主役は、やはりフリルのドレスやバルーンスカート、ペチコートといった、どこまでも愛らしいアイテム。
これ以上ないくらい、本当に春らしい瑞々しく美しいコレクションを見せてくれた、マーク・ジェイコブスによるルイ・ヴィトンでした。
フューチャリズムの嵐が吹き荒れた2007SSですが、ロマンティシズムを全面に押し出したのが、マーク・ジェイコブスによるルイ・ヴィトン。
後程書きますが、アレクサンダー・マックーンやクリスチャン・ディオールも同様の方向性ですね。いずれのメゾンも花をモチーフにしたフェミニンなコレクションを見せているのも共通点と言えるかも。
ヴィトンではモデル全員が花飾りが印象的なヘアバンドを身につけ、花束をいっぱいに詰めたショッピングバッグやトートバッグも登場。
シルクやチュール、オーガンジーなどの軽い素材やオックスフォード風のシャツの生地などメンズライクでカジュアルな素材にクチュールのテクニックを用いて、フェミニンなシルエットを形作ったり、テーラード・ジャケットではパフスリーヴなどでヴィクトリアンな要素を見せたりと、今回も様々な面を融合させた興味深いコレクションになっています。18世紀のアーカイヴに着想を得たというリバティプリントもポイント。
"LV"のモノグラムに"O"と"E"を加えて"LOVE"へと変化したロゴをつけたトートバッグやTシャツは、ご愛嬌だけれど、ある意味今回のルイ・ヴィトンの気分を最もわかりやすく表現したアイテムと言えるかも。
でも今回の主役は、やはりフリルのドレスやバルーンスカート、ペチコートといった、どこまでも愛らしいアイテム。
これ以上ないくらい、本当に春らしい瑞々しく美しいコレクションを見せてくれた、マーク・ジェイコブスによるルイ・ヴィトンでした。
2007.01.01 Monday
2007SS Viktor & Rolf
1940年代のレトロなダンスフロア風の会場で行われた今回のヴィクター&ロルフのショーは、9月に発売した初のメンズ・フレグランス"Antidote"をイメージしたプロのバレエダンサーたちによるパフォーマンスで開幕。その後、ルーファス・ウェインライトが"Over the Rainbow"をオーケストラの演奏をバックに歌い、モデルのウォーキングがスタートするという、いつもながらの凝った演出で楽しませてくれます。
今シーズンのテーマになっているモチーフは、バレエ、星、そしてフリンジ。そしてなによりもダンス!
あらゆるアイテムに大きな星型の切り抜きが施され、ジャケットやスカートのヘムラインジグザグなカッティングにも援用されています。お得意のタキシードスタイルも星型で飾られ、少しコミカルな舞台衣装的な雰囲気。透けるように薄い素材のヌーディなスキンカラーのトップスには、大振りのルーセントなビジューが縫い付けられて、きらびやかな印象に。チュチュのようなボリューム感のスカートやドレスもバレリーナ風のイメージを演出するアイテムです。
ルーサイトのヒールも今季のメゾンの気分を表現する美しいアイテム。フレッド・アステアのようにオールバックに固めたヘアスタイルもおもしろいですね。
圧巻なのは、フリンジをカスケードのように用いて象られたスカートやブラウスにドレス、パンツスーツなど。中でもトレンチコートが驚くほど美しくゴージャスで、今シーズンのハイライトとなる作品になっています。
グラデーションのドレスやコートも素敵です。
時にはリアリティを忘れさせてくれる、ファンタジーとデカダンスもモードには必要。今季も期待通りのクオリティの演出とコレクションを見せてくれた、ヴィクター&ロルフでした。
今シーズンのテーマになっているモチーフは、バレエ、星、そしてフリンジ。そしてなによりもダンス!
あらゆるアイテムに大きな星型の切り抜きが施され、ジャケットやスカートのヘムラインジグザグなカッティングにも援用されています。お得意のタキシードスタイルも星型で飾られ、少しコミカルな舞台衣装的な雰囲気。透けるように薄い素材のヌーディなスキンカラーのトップスには、大振りのルーセントなビジューが縫い付けられて、きらびやかな印象に。チュチュのようなボリューム感のスカートやドレスもバレリーナ風のイメージを演出するアイテムです。
ルーサイトのヒールも今季のメゾンの気分を表現する美しいアイテム。フレッド・アステアのようにオールバックに固めたヘアスタイルもおもしろいですね。
圧巻なのは、フリンジをカスケードのように用いて象られたスカートやブラウスにドレス、パンツスーツなど。中でもトレンチコートが驚くほど美しくゴージャスで、今シーズンのハイライトとなる作品になっています。
グラデーションのドレスやコートも素敵です。
時にはリアリティを忘れさせてくれる、ファンタジーとデカダンスもモードには必要。今季も期待通りのクオリティの演出とコレクションを見せてくれた、ヴィクター&ロルフでした。
2007.01.01 Monday
2007SS Givenchy
リカルド・ティッシによるジバンシィ。
ティッシが就任して3シーズン目となるは、夏に2006-07AWのオートクチュールで見せたエスニシティを今シーズン流のフューチャリズムを織り交ぜながらトライバルな要素を加味し、タフでパワフルなエレガンスに落とし込んでいます。
今シーズンの大きなトレンドであるエアリーな軽さとやコンパクトなシルエットとは距離を置いた、重みのあるボリューム感が特徴。ウェストをマークする甲冑の胴当てを思わせるパテントレザーのベルトのバックルやカマーバンドに、円形の切り抜きや極端にフレアに広がったスカートなど丸みを帯びた曲線からならジオメトリックなモチーフが近未来の戦士のようなタフな印象。色もマットな質感のブラックが中心です。
ここに、後半に登場したプリミティヴな風合いのフリンジ、ネックラインを中心にトリミングやシューズなどのアクセサリーにも多様されているロープのような、トライバルなディテールを加味することで、エレガントさも演出しています。
様々なSci-Fiのドラマや映画(「スタートレック」とか顕著ですよね)で見られるように、フューチャリスティックなテイストとプリミティヴなトライバルなモチーフは、意外に相性が良いことは証明済みなわけで、ある意味正攻法。
特にラストに並んだドレスは強烈な存在感です。
女優業に力を入れているためにデザイナーのミューズであるマリア・カルラの姿がないのが少し残念でしたが、着実な進歩を見せてくれたリカルド・ティッシ。その知名度やオートクチュールも擁する技術力に較べると、アイコンとなるようなモチーフが少ないだけに、"I'm trying to do my own story"というデザイナーのコメントに期待したいところです。
ティッシが就任して3シーズン目となるは、夏に2006-07AWのオートクチュールで見せたエスニシティを今シーズン流のフューチャリズムを織り交ぜながらトライバルな要素を加味し、タフでパワフルなエレガンスに落とし込んでいます。
今シーズンの大きなトレンドであるエアリーな軽さとやコンパクトなシルエットとは距離を置いた、重みのあるボリューム感が特徴。ウェストをマークする甲冑の胴当てを思わせるパテントレザーのベルトのバックルやカマーバンドに、円形の切り抜きや極端にフレアに広がったスカートなど丸みを帯びた曲線からならジオメトリックなモチーフが近未来の戦士のようなタフな印象。色もマットな質感のブラックが中心です。
ここに、後半に登場したプリミティヴな風合いのフリンジ、ネックラインを中心にトリミングやシューズなどのアクセサリーにも多様されているロープのような、トライバルなディテールを加味することで、エレガントさも演出しています。
様々なSci-Fiのドラマや映画(「スタートレック」とか顕著ですよね)で見られるように、フューチャリスティックなテイストとプリミティヴなトライバルなモチーフは、意外に相性が良いことは証明済みなわけで、ある意味正攻法。
特にラストに並んだドレスは強烈な存在感です。
女優業に力を入れているためにデザイナーのミューズであるマリア・カルラの姿がないのが少し残念でしたが、着実な進歩を見せてくれたリカルド・ティッシ。その知名度やオートクチュールも擁する技術力に較べると、アイコンとなるようなモチーフが少ないだけに、"I'm trying to do my own story"というデザイナーのコメントに期待したいところです。
2007.01.01 Monday
2007SS Chanel
カール・ラガーフェルドによるシャネル。
いきなりの感想なのですが、今季のシャネルは可愛すぎます。ちょっとここ数シーズンのあらゆるメゾンの作品を思い返してみても、ここまで直情的に「可愛い!」と言わせてしまうコレクションは記憶にありません。
空気のように軽く、ガーリーでとびきりキュートなコレクション。
コンパクトなショート丈のジャケットにトップス、マイクロミニのスカートに、ホットパンツ、ミニドレスを中心としたコンパクトなシルエットが今回の特徴。膝丈の少しフレアなスカートも細かめのプリーツが施されて、とても軽やか。
ツイードのジャケットが素晴らしいの一言。マイクロミニやホットパンツ、透けるチュールのインナーといったセクシーなアイテムも、ボックスシルエットのツイードのミニジャケットとのスタイリングで驚くほどエレガントなテイストに仕上がります。ブラックのチュールは、プルオーバーやカーディガンなどにも多様されて、軽やかなレイヤードスタイルに欠かせないファブリックになっています。
そしてラストに並んだモスリンのLBDは、もう溜め息しか出ません。
オーバーサイズなラウンドフレームのブラックのサングラスはもちろん、"Naked Bag"と命名されたプラスティックの透明なバッグ、マットなブラックxシルバー&ゴールドの2連の円をモチーフにしたデザインのクラッチバッグ、そしてソールにプラスティックを用いた、トロンプルイユが印象的なプラットフォームシューズなどのアクセサリーで、フューチャリスティックなトレンドもしっかり取り込んでいます。モノトーンに載せる、どこまでもエアリーでマットなゴールドやシルバーの刺し色としての使い方も完璧。水玉やストライプといったグラフィカルな柄は60'sのフューチャリズムと同時に、ストライプのニットドレスなどではスリーヴのボリューム感も手伝って、80'sのニューウェーヴな雰囲気も感じさせます。
序盤に並んだホワイトの織り柄の水着も(今回は目立って多かった)コンパクトでキュート。
どのシーズンのいかなるトレンドでも、見事にシャネル流のクラシックなスタイルに落とし込んでしまう、カール・ラガーフェルドの天才的な手腕を改めて感じさせてくれた、2007SSのシャネルでした。
いきなりの感想なのですが、今季のシャネルは可愛すぎます。ちょっとここ数シーズンのあらゆるメゾンの作品を思い返してみても、ここまで直情的に「可愛い!」と言わせてしまうコレクションは記憶にありません。
空気のように軽く、ガーリーでとびきりキュートなコレクション。
コンパクトなショート丈のジャケットにトップス、マイクロミニのスカートに、ホットパンツ、ミニドレスを中心としたコンパクトなシルエットが今回の特徴。膝丈の少しフレアなスカートも細かめのプリーツが施されて、とても軽やか。
ツイードのジャケットが素晴らしいの一言。マイクロミニやホットパンツ、透けるチュールのインナーといったセクシーなアイテムも、ボックスシルエットのツイードのミニジャケットとのスタイリングで驚くほどエレガントなテイストに仕上がります。ブラックのチュールは、プルオーバーやカーディガンなどにも多様されて、軽やかなレイヤードスタイルに欠かせないファブリックになっています。
そしてラストに並んだモスリンのLBDは、もう溜め息しか出ません。
オーバーサイズなラウンドフレームのブラックのサングラスはもちろん、"Naked Bag"と命名されたプラスティックの透明なバッグ、マットなブラックxシルバー&ゴールドの2連の円をモチーフにしたデザインのクラッチバッグ、そしてソールにプラスティックを用いた、トロンプルイユが印象的なプラットフォームシューズなどのアクセサリーで、フューチャリスティックなトレンドもしっかり取り込んでいます。モノトーンに載せる、どこまでもエアリーでマットなゴールドやシルバーの刺し色としての使い方も完璧。水玉やストライプといったグラフィカルな柄は60'sのフューチャリズムと同時に、ストライプのニットドレスなどではスリーヴのボリューム感も手伝って、80'sのニューウェーヴな雰囲気も感じさせます。
序盤に並んだホワイトの織り柄の水着も(今回は目立って多かった)コンパクトでキュート。
どのシーズンのいかなるトレンドでも、見事にシャネル流のクラシックなスタイルに落とし込んでしまう、カール・ラガーフェルドの天才的な手腕を改めて感じさせてくれた、2007SSのシャネルでした。
2007.01.01 Monday
2007SS A.F. Vandevorst
個人的な思い入れから毎シーズン追いかけている、フィリップ・アリックスとアン・ヴァンデヴォルストによるA.F.ヴァンデヴォルスト。
シャープなカッティングのテーラリングとランジェリールックのミクスチャーという、彼らのシグニチャーなスタイルはそのままに、官能と禁欲が同居し、どこかエスニックな薫りと宗教的な雰囲気の漂う、不思議なコレクションを見せています。
キーとなるのは、シャツドレスやフード付きのワンピースやロングニットからトレンチコートに至るまで、あらゆるアイテムで用いられたフード。特に口を細いテープで覆われたモデルのルックは、修道女のようなクリーンでニートなテイストを感じさせる一方で、中近東の女性の纏うベールのようでもあります。身体に巻きつける形のフード付きのワンピースもエスニシティを強調するアイテム。ワイドなパンツとジャケットとベールのスタイリングは、未来の遊牧民のようでもあります。レザーを編み込んだエプロン風のトップスとワンショルダーのドレスとのコーディネートは、静かなセンシュアリティを主張しています。
終盤に並んだエレクトリックなブルーの作品が鮮烈な印象。ホルターのガウンやペイズリーのフリュイドドレスは、彼らが時に仄めかす美しいドレスを生み出す才能の片鱗を見せています。
フラットで丸みのあるアンクルブーツが、いつものファニーでシニカルな効果を演出するスパイスになっているのもおもしろいですね。
要所要所でトレンドを押さえながらも、いつもと変わらない彼ららしいコンセプチュアルで興味深いコレクションを見せてくれたA.F.ヴァンデヴォルストでした。
シャープなカッティングのテーラリングとランジェリールックのミクスチャーという、彼らのシグニチャーなスタイルはそのままに、官能と禁欲が同居し、どこかエスニックな薫りと宗教的な雰囲気の漂う、不思議なコレクションを見せています。
キーとなるのは、シャツドレスやフード付きのワンピースやロングニットからトレンチコートに至るまで、あらゆるアイテムで用いられたフード。特に口を細いテープで覆われたモデルのルックは、修道女のようなクリーンでニートなテイストを感じさせる一方で、中近東の女性の纏うベールのようでもあります。身体に巻きつける形のフード付きのワンピースもエスニシティを強調するアイテム。ワイドなパンツとジャケットとベールのスタイリングは、未来の遊牧民のようでもあります。レザーを編み込んだエプロン風のトップスとワンショルダーのドレスとのコーディネートは、静かなセンシュアリティを主張しています。
終盤に並んだエレクトリックなブルーの作品が鮮烈な印象。ホルターのガウンやペイズリーのフリュイドドレスは、彼らが時に仄めかす美しいドレスを生み出す才能の片鱗を見せています。
フラットで丸みのあるアンクルブーツが、いつものファニーでシニカルな効果を演出するスパイスになっているのもおもしろいですね。
要所要所でトレンドを押さえながらも、いつもと変わらない彼ららしいコンセプチュアルで興味深いコレクションを見せてくれたA.F.ヴァンデヴォルストでした。