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2006.02.19 Sunday

2006-07AW Dior Homme

メンズウェアの中で、真にクリエイティヴな仕事をしているのは、彼だけなんじゃないだろうか。エディ・スリマンによるディオール・オム

これまでの彼の作品を見て、まさに自分が求めていたものだなーとか、本当に完璧で素敵、と感じることばかりだったけれど、戦慄を覚えたのは今回が初めて。というか、メンズのコレクションを眺めてこれだけ驚愕したことはありません。

徹底的にストイックなフォーマル。ここ数シーズンは、グラムだったりスカやモッズだったり、多分にロックやストリートなテイストが強かったものの、素晴らしいテーラリングとタイトでパーフェクトなシルエットが基本にあることは変わらなかったわけで、そのテーマそのものに大きな驚きはありません。それこそ、ミラノとパリ双方に通ずる今季のメンズの最大のトレンドなのだから。

(ティスケンスのロシャスのドレスを想起させるような)ハイウェストを強調したかなり細身のフロック・コート、スワロウテイルをパーツとして巧みに取り込んだジャケット(必ずしもTUXでないところがポイント)、そしてワイドパンツというスタイリングが中心。色はファーやレザーといった天然素材以外は殆どモノトーン。

そのフォルムがどれも極めて新鮮。ドレッシーでグラムなフォーマルでありながら、決して華美でセレブリティな薫りがしない、絶妙なバランス感覚。ここまで新しいスタイルを打ち出しながら、全く破綻が見られないというのは驚くべきこと。

これはすでにメンズウェアなのかどうかすらよくわからない感じ。クラシックへの憧憬、そしてドレスアップという、いまの気分をストリートからランウェイへ、そしてランウェイからストリートへ紡いでいく未来のフォーマル。

個人的には、ザック・ポーゼンがメンズを作ったら今回のディオール・オムに少しセレブなテイストとモノクローム以外のカラーを足したもう少しfamiliarな服を作りそうな気がする。若干シルエットだけ似た全くの別物ってことだけどね(笑)。

エディ・スリマンがメンズウェアをリードする時代が当面続くことを予感させる、ディオール・オムでした。







2006.02.19 Sunday

2006-07AW John Galliano Mens

ジョン・ガリアーノのシグニチャー。今季もそのクリエイションに圧倒されるばかりのパワフルなコレクションを見せてくれました。

ガリアーノが語ったというテーマは'Dickens meets the Gorillaz'。オリヴァー・ツイストが描いたロンドンのストリートを現代に蘇らせた作品たちが並びます。

短く切断されたタキシード風シルエットのジャケットも、カーキやグレーなどのカラーパレットで。白いタイが組み込まれたバンガードのニットもおもしろい作品。

18世紀のアーティストであるJames Gillrayのイラストをプリントしたシャツやヘッドギアを思わせるアイテムもデカダンスでディストピア的なテイストやを加えるのに一役買っています。

浮浪者っぽいなメイクを施したモデルたちに続き、マスクなどを用いたギャング風なスタイリングも登場。"Long Wolf"モチーフのグラフィティやガリアーノ本人の顔をプリントしたTシャツなど、いつもどおりの過剰な自己演出も健在。

終盤に並んだくすんだ極彩色のラインは圧巻。あの羽帽子がちょっと欲しい。

全般にパンクなテイストが満載。彼がロンドン・オリジンのデザイナーであることを思い出させてくれるコレクション。

ここまで書いておいて言うのもなんですが、彼の作品をきっちり語るには、服飾史や時代背景に対する知識レベルがまだまだ低すぎます。。。というわけで、勉強の必要性を再認識させられた今季のジョン・ガリアーノでした。






2006.02.13 Monday

2006-07AW Louis Vuitton Mens

床面をビニールテープのストライプで彩るアートで知られるJim Lambieの手による印象的なランウェイで行われたルイ・ヴィトン

今回は若干80年代を思わせる肩幅のシルエットの不良少年っぽいスタイリングが並びます。

白いファスナーが印象的なフード付きのダッフルにイヤーマフラー。足元にはメタリックに飾られた重たそうな作業用風のブーツ。

ナイロンなどのハイテク素材に、アルパカやチンチラなどのリュクスな素材を合わせた、ベストやジップアップにフリースなど、ちょっとフューチャリスティックでストリート感たっぷりのアイテムが満載。モノグラムのイヤーマフラーや山形紋様のカーペットバッグもおもしろい。

こういう言い方をすると、きっと熱狂的なファンから起こられるのでしょうが、パリでも評価を高めているMastermind JapanやRoar、Roenといった日本発のラグジュアリーなストリート・ウェアに対するパリ・モードからの回答と言えるかも知れないですね。

"This isn't futuristic, this is NOW!"というコメントが印象的な、デザイナー=マーク・ジェイブスの遊び心を存分に見せてくれた、ルイ・ヴィトンでした。







2006.02.13 Monday

2006-07AW Yves Saint Laurent Rive Gauche Mens

トム・フォードの後を継いで1年。すっかりステファノ・ピラティのテイストが馴染んできたイヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ

いままで以上にクラシックな雰囲気のコレクション。今季のパリのメンズ全般を支配している流れですが。たぶんトレンドカラーはグレーってことで落ち着くんでしょうねぇ。

1930年代風のダンディーなスタイリングが印象的。ツイードなどの素材や大きめのチェック柄、クロップト・パンツやガウン風のコート。、シープスキンの襟のレザーブルゾン、ベルト付のナイロン・ジャケットなど、特にアウターはアウトドアなテイストも強いのだけれど、どれをとってもエレガント。

アストラカンのダッフルやアルパカで襟を飾ったオストリッチのコートなど、リュクスなアイテムもたっぷり。終盤にはイヴニング・ウェアも。

しかしまあ、デザイナーご本人が一番似合っておいでですな(笑)。ちょぅっとトーマス・マイヤーのボッテガ・ヴェネタっぽい雰囲気もあるけれど、圧倒的にエレガントなイヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュでした。







2006.02.13 Monday

2006-07AW Kris van Assche

シーズンを追う毎に評価を高めてきたクリス・ヴァン・アッシュによる2006-07AWコレクション。

長年エディ・スリマンのアシスタントを勤めていたということもあって、どうしても比較してしまうし、基本的な雰囲気はどことなく同じなのだが、ヴァン・アッシュはスパニッシュやアラビアンなどよりエスニックなテイストが盛り込まれているところが好きです。

中折れ帽や確かなテーラリングのジャケット、ダブルのコートやタイトなシルクのジーンズなど、ベル・エポック風の前半はカジュアルにも使える完璧な21世紀のイヴニング・ウェア。ダークブルーやグレーを重ねたカラーパレットも素敵です。

ただし。頭にリースを飾り、汚れたメークを施したモデルたちが並ぶ後半はかなり微妙。サイドに太目のパイピングのあるパンツとかはちょっと。。。

点数もあまり多くないので、ちょっと残念な感じ。まだクリエイションのクオリティの安定性という点で、若干の不安があるのかもしれませんねー。でも基本的には好きなタイプなので、今後に期待したクリス・ヴァン・アッシュでした。




2006.02.06 Monday

2006-07AW Veronique Branquinho Mens

"partners in crime"をテーマに、同じアイテムを同じスタイリングで着たカップルを登場させるというプレゼンテーションを行ったヴェロニク・ブランキーノ

セルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキン、ルー・リードとニコ、ボブ・ディランとジョーン・バエズ・・・。

服そのものより、共犯関係というテーマそのものに魅せられてしまいました。僕が生涯探しているのは、そういう関係に陥れる人だから。それってブランキーノのコメントのように"diehard romantic"なことなのだろうか?やはり。



2006.02.05 Sunday

2006-07AW Viktor & Rolf Mens

先程取り上げたニール・バレットと同様にミリタリーをメインテーマにイヴニングの要素を加味したヴィクター&ロルフ

といっても、もちろんこのデザイナー・デュオ特有の遊び心満載のポップなコレクション。アーミーナイフや手榴弾をモチーフにしたシャツやニット、ホルスター風のポケットの付いたパンツ面白いアイテム。タキシードやフリルのシャツといった彼らの定番もどこかアーミーなスタイリングで。

ミキハウスなフォントで「monsieur」の文字をあしらった真っ赤なセーターは笑えます。でもちょっと欲しかったり。

相変わらず点数は少ないですが、楽しめる作品を披露してくれたヴィクター&ロルフでした。





2006.02.05 Sunday

2006-07AW Neil Barrett Mens

まずいことに(笑)、2006-07AWのレディスのNYも始まってしまったので、メンズは駆け足でさらっていきます。

デビュー当時はかなり好きだったのですが、ここ数シーズンは遠ざかっていたニール・バレット。もしかするとこのブログでレヴューするのは初めてかもしれません。今季はかなり素敵。

ミリタリーとイヴニングというメンズでは使い古されたテーマを彼流のコンテンポラリーなテイストでスタイリングしてしまった、ちょっと驚きのコレクション。

コスチューム・ナショナルなどでも見られた、なぜかトレンドアイテムになっているカマーバンドもグリーンだったりレザーだったり。シャツのポケット使い、パンツのサイドのラベリングもわかりやすいけれど、抗い難い魅力があります。とはいえ、迷彩柄のタイはアイデアとしては凡庸かなー。

これだけタイトなミリタリーなら着てみたい感じですねー。もともとミリタリーはバレットの得意の分野だけあって、コートなどのアウターが素晴らしい。そのカッティングや控えめな肩章使いが素敵。勝手にマスト・バイ指定させてもらいます。というか今年欲しい。

よく考えてみたら、メンズのテーラリングのルーツの多くはかつてのミリタリーにあったりするわけで、それほど突拍子もないアイデアではないのかもしれないね。ボウタイにも挑戦したくなってしまいます。

個人的には今シーズンのミラノメンズのベストなニール・バレットでした。







2006.01.31 Tuesday

2006-07AW Alessandro Dell'Acqua Mens

小さめのサイズがないような気がするので、持っているアイテムは少ないのだが、お気に入りなアレッサンドロ・デラクア

あまり派手な動きはないけれど、無駄のない繊細で美しい作品は健在。今回はよりミリタリーに寄ったスポーティなテイストとモードな雰囲気のバランス感がほんとに絶妙です。

カラーパレットは、いつもどおり黒、キャメル、白が中心。そこに今回はグレーや深いグリーンもいくつか見られました。僕は彼のキャメルがかなり好きなんだけどねー。

セーターなどのインナーやブルゾンにあしらわれているネイビーな刺繍が良い感じ。ナイロンのブルゾンやボンバージャケットといったカジュアルめのアウターは、バイカーっぽかったりアーミーに味付けされていたりで、見ていても楽しい。

個人的には、レザーパンツとグリーンのタイトなダウンジャケットがかなり気になるアイテム。そしてニットはいつも通り素敵です。基本的にニット好きなのがばれるな(笑)。

こういうタイとシャツを同じ色でそろえて、ニットとタイトなパンツに合わせ、最後にダウンやブルゾンでまとめるスタイリングが素敵。これはいますぐにでも使えそう。

早くも来年の冬が待ち遠しくなってしまう、アレッサンドロ・デラクアのコレクションでした。






2006.01.29 Sunday

2006-07AW Jil Sander Mens

注目のラフ・シモンズによる初のジル・サンダー

ボクシーなシルエット、オーバーサイズで少し落ちた肩、高めのVゾーンのシングルボタンのジャケットやコート。ラフ・シモンズのシグニチャーをジル・サンダーのテイラードで見せられているかのようなコレクション。

ゆったりしたジャケットとスリムなパンツに、純白のシャツが基本のスタイリング。そこにクリーンなニットを合わせたり。これってよく考えたら、シモンズとサンダーに共通している部分かもね。

色はひたすら黒。あるいはシモンズの好むグレー。

シルクナイロンやウールのニットやカーディガンといった、シンプルでリュクスなアイテムといったジル時代のニートさを感じさせるアイテムたくさん。特に鍵穴のように丸く窪んだニックラインのニットやリブ編みのカーディガンが気になります。

バッグや小物などのアクセサリーは一切なしでひたすらカッティングとシルエットで勝負したデビュー作。このアプローチって、リカルド・ティッシがジバンシィで見せたのと同じですね。

ミリタリーなテイストが微妙に加わっているのも魅力的かも。

ちなみにショーで使われた曲の1つが、Aphex Twinの"Windowlicker"をピアノで再現したMaxence Cyrinによる作品。

あまり多くを語る必要はないけれど、非常にインプレッシヴ。この雰囲気かなり好きです。実をいうと、シモンズもサンダーも、これまで特にLOVEというわけではなかったのだけれど、これは可能性あり(笑)。両者の僕の好きなエッセンスがうまく昇華されてる感じ。

というわけでメンズは素晴らしいスタートを切ったラフ・シモンズによるジル・サンダーでした。とはいえ、一番気になるのはレディス。ほんとどんなものが出てくるか楽しみです。







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