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2007.03.12 Monday

2007-08AW

買い物していたりでかけてしまったり、色々読んでいたりでレヴューを更新できていませんんですが。。。

NYは別として、今回のミラノとパリは相当メゾンによって好き嫌いが別れています。個人的には。特にミラノ。

ここ数年そうなのだけれど、トータルの平均点で見るとミラノはおもしろくないですねー。影響力のあるメゾンが完全に固定化してしまっているという意味でも。

プラダマルニバーバリー・プローサムグッチに、最近ではジル・サンダーボッテガ・ヴェネタを押さえておけばOKで、今季もそれは変わりません。ちょっと今回のグッチは微妙ですが、この6メゾンのクオリティが飛び抜けてしまっているので、他に目が向かないのかもね。NYのように新人がどんどん登場してくるわけでもないし。

そんな中では、プリングル・オブ・スコットランドがなかなかの出来でした。マーロのデザインも手がけて注目の6267は、悪くはないのだけれど期待度が高いだけに、もう一歩求めたいかも。あとはヴェルサーチがシックに生まれ変わってびっくり。あれはあれで良いと思います。アレッサンドロ・デラクアもやはり好きだ。若手ではデレルクニーも気になるところ。

ドルチェ&ガッバーナを忘れているじゃないかと言われそうですが、僕のカバーする領域ではないというか、他への影響どうこうというより彼らの世界で完結しているような気がしていて、これまで殆ど書いたことがありません。でも今回のショーでもジゼルが久しぶりに登場したり、演出もかなりスペクタクルなショーだったようで感心いたしました。勿論コレクション自体もゴージャスだったしね。あのパワーはやっぱりすごい。

あとDスクエアードもカウボーイっぽいテイストが抜けて良い感じ。不思議なもので、今季はブルマリンアンナ・モリナーリがひっかかってきました。NYではジル・スチュワートマランドリーノが気になったり、デザイナー側と僕の心境のどちらの変化かわからないですが。。。マックスマーラも結構おもしろかった。

他はみんなマイケル・コースを珍妙にしてしまったような間違ったシルエットと、考え過ぎなフォルムの幾何学的でディテールばかりで、見ていてゲンナリしました。

でもなにはさておき、今季もパリは別格でしたね。先にパリを書こうかなあ。
2006.04.26 Wednesday

2006-07AW Marni

コンスエロ・カスティリオーニによるマルニ

丸みを持たせたフェミニンアンボリューム感を得意とするマルニも、今シーズンのトレンドに自然にはまるメゾン。もうひとつの特徴であるカラフルなプリントも今回は殆ど登場せず、代わってグレーやブラック、ネイビーがカラー・パレットの中心となり、ほのかにダークなエレガンスを漂わせる感じ。そこにバーガンディや淡いピンクやエクリュを合わせて。

シルエットも、いつものマルニよりモダンでミニマルで直線的。

冒頭のジェマの、肩からまっすぐに落ちてウェストから広がるチュニックに、細めのスカート、膝丈のブーツに肘丈のグローブという組み合わせは、今回のコレクションを象徴するスタイリングのひとつ。

ゆったりとした股が低めのパンツやゆるいボウタイの付きのブラウスなど、マニッシュなアイテムなどが、リラックスした中にも厳格な雰囲気を与えています。

それでもスウィートなフェミニティと子供のようなイノセンスが失われないのは、カスティリオーニがデザインしているからこそ。

ブラウスやチュニックなどのトップスにフォーカスを置いているのもポイントです。おなじみのクロップト・スリーブのブラウスもファーでトリミングされていたり。バックのさりげないタック、ネックラインのドロー・ストリングなどのディテールも繊細。モヘアのオーバーサイズのニットなど、素材も豊富。

ドレスやコートに多様されている、高めにウェストをマークしたベルトも重要なアクセント。

グレーのカラーブロックを組み合わせたグラフィカルなプリントや、ブルーやグレー、ホワイトのインクを落としたようなタイダイ染めなどもおもしろいです。コートに施された花柄の刺繍も素敵。

大きめのターコイズなどの石やベークライト、木をミックスしたネックレスのようなマルニ独特のアクセサリーも健在。

"restraint"、"sobriety"、"volume"。STYLE.COMの評のとおり、この融合しにくい3つのトレンドを完璧に、そしてシックにまとめてミニマルな新機軸を見せてくれたコンスエロ・カスティリオーニ。

妙な話ですが、僕が今季のクロエに期待していたのは、多分これ。今度の秋冬、売れるのは絶対にマルニです(笑)。










2006.04.24 Monday

2006-07AW Jil Sander

1月のメンズに続き、ラフ・シモンズがクリエイティブ・ディレクターに就任して初のレディスのコレクションを発表したジル・サンダー

シモンズ本人にとっても本格的なレディスを手がけるのは初めてという状況で、彼のレディスでの才能に懐疑的な声を消してしまうような、素晴らしいコレクションを見せてくれました。

メンズと同様に、ジル・サンダー本人のミニマリズムを尊重しつつ、シルエットとボリューム感でシモンズらしさを打ち出しています。

完璧なテーラリングと最上のクオリティはそのままに、ショートなピーコートや2ボタンのジャケット、ホワイトのシャツなどのサンダーお馴染みのアイテムに、わずかなボリューム感を加えてリファイン。少しルーズ目にプリーツを施したシャツドレスや、バックがトラペーズ風に広がるジャケットは、シモンズらしいアイテムです。

モノクロームを基調にエクリュやブラウンも用いたシックで静謐なカラーパレット、
スタートを飾ったボクシーなジャケットのボリューム感を生むファブリックや、テクノなテクスチャーなどの素材使いのバラエティも魅力的。

足元を飾るクロコダイルのウェッジソールのブーツもストイックな印象を強めています。

終盤に登場した、かすかにドレープが揺れるフロア・レングスの流れるように柔らかなシルクのドレスが、美しく、エロティック。プレーンなフロントとプリーツを寄せたベアバックのコントラストが印象的。

メゾンのもつシグニチャーとの相性の良さに加え、"It is subtle and fluid but not 'minimal'というラフ・シモンズの言葉に、ようやく相応しい後継者が現れたことを感じた、ジル・サンダーでした。










2006.04.19 Wednesday

2006-07AW Louis Vuitton

今季もプチ・パレで再びラストを飾った、マーク・ジェイコブスによるルイ・ヴィトン

トリを務めるに相応しく、ボリューム感のあるくすんだ色合いのレイヤードが生み出すダークなテイスト、メタリックな素材使い、レオパール柄などのグラマラスなモチーフにファーを多様したゴージャスなアイテム、など今シーズンのトレンドをきっちり盛り込んだ上で、トータルでどこか未来的でスポーティな雰囲気にまとめたコレクションを見せてくれました。

モデルたちの顔を覆う巨大な帽子に代表されるように、今回のポイントは"concealing"。美しい体のラインや豪奢な素材を隠すかのようなボリュームのアイテムを重ねていくスタイリング。膝丈までのオーバーサイズなニットなど、グランジっぽいルーズさが加わっているのが、いかにもマークらしい感じ。

フランネルのビスチェをニットに重ねたり、キルティングやグレーのツイード、厚手のクラム・ディガーをドレスと合わせる素材感とスタイリングが新鮮。スキャパレリ風のベルベットのショッキング・ピンクのワイドパンツや、ディオールからの影響を感じさせるグレーのスカート・スーツやペプラム・ジャケットも。

ジャケットといえば、ファーでトリミングされていたり、アーミーなディテールを見せるエクリュや淡い茶色の半端丈の厚手のダッフル風になっていたりと、豊富なバラエティで楽しめます。

ジェシカ・スタムのアステカ風のビーズを刺繍したワンピース・ドレスや、ジェマのLBDと合わせた大振りのパールのネックレスなどに見られる石使い、スキーブーツにインスパイアされたという斬新なウェッジソールも印象的。

もちろんバッグも充実しています。2000年に故スティーブン・スプラウスとグラフィティでコラボレーションした際に、考案されながらも採用されなかったアニマル柄モノグラムが登場。エナメル加工のメタリックな素材にモノグラムがエンボスされたベルニの新色は、きらびやか。お馴染みの村上隆とのコラボレーションは、持ち手がヘッドホンになっているがま口バッグや、ファーのマルチカラーなどの飽きさせないラインナップ。

NYとパリ。コレクション・サーキットの最初と最後の両方を押さえてトランス・アトランティックにトレンドに影響を及ぼすことのできる唯一のデザイナーとしてのマーク・ジェイコブスの才能を改めて認識させられた、ルイ・ヴィトンでした。










2006.04.17 Monday

2006-07AW Chloe

フィービー・フィロの辞任後初のコレクションとなるクロエは、なんだかちぐはぐな印象。

先シーズン打ち出したボリューム感を引き継いではいるのだけれど、フィロの持っていた絶妙なレイヤードのバランス感覚がすっぽりと抜け落ちている感じ。スタイリングの問題でもあるのかもしれないけど。デザインチームへの移行期ということで、しばらくは様子見ですかね。。。

あんまり関係ないが、ジェマとソランジェが可愛かった(笑)。



2006.04.17 Monday

2006-07AW Paco Rabanne

ここから2本は軽く触れる感じで。

先シーズンはインプレッシヴなコレクションを見せたパトリック・ロビンソンによるパコ・ラバンヌ

今季は構築的なデザインとボクシーなシルエットがユニーク。テープ使いが興味深いです。ディテールもスカートのリムやプリーツ、布地の合わせ方やジオメトリックな配置など、凝っていておもしろいのだけれど、トータルのインパクトが弱いような気がしますです。





2006.04.17 Monday

2006-07AW Emanuel Ungaro

ヴァンサン・ダレに代わって新たにクリエイティブ・ディレクターに就任したピーター・デュンダスによる、新生エマニュル・ウンガロのデビュー・コレクション。

デュンダスはノルウェイ出身のアメリカ人で、ゴルチエやラクロワで働いた経験があり、ウンガロに招かれる直前までロベルト・カバリにいたというデザイナー。そのキャリアが示す通り、コンサバティヴなコレクションを発表してきたダレから一転、80年代のウンガロを思い起こさせる、セクシーでパワフルな作品を見せてくれました。

マトン・スリーブのベルテッドのフレア・コートやドレッシーなトレンチに代表される体の線を強調したタイトなウエストのシルエット、鮮やかな色彩りのジャージー・シルクやポルカ・ドットのアイテム。

リヤ・ケベデのレオパール柄のシフォンや黒のジャージーのミニドレスや、ダリア・ウェーボウィのモンゴリアン・ファー付きのジャケットやアライグマの尻尾を贅沢に使ったファー・コートなどゴージャスなアイテムが、グラマラスな雰囲気をコレクション全体に与えています。

個人的には、ソランジェのウェストとヒップのラインをなぞり、ボトムでバウンドするフル・レングスのルージュのガウンがベスト・ルック。

"Roberto Cavalli meets Paris chic"といった感も否めないですが、デビューとしては十分過ぎるほどの出来だと思います。

来季以降に更に期待のかかる、ピーター・デュンダスによるエマニュエル・ウンガロでした。








2006.04.16 Sunday

2006-07AW Ann Demeulemeester

リクエストもいただいたのでアン・ドゥムルメステールを。

実は彼女のメンズが割りと好きだったりします。XXS(だったかな?)とかかなり小さいサイズもあるし、着易いし。何度も試着してますが、買ってはおりません(笑)。そういえば、4/13に表参道ヒルズに日本初のオンリーショップがオープンしていたのでした。そもそもまだ表参道ヒルズに足を踏み入れていないのだけれど。

4月17日号のWWD FOR JAPANにも特集がありましたが、最近かなり評判のよいドリス・ヴァン・ノッテンやラフ・シモンズと並んで好調なアン。

特にパリを支配したダーク&ロマンティックなテーラリングというトレンドは、まさにベルギー人デザイナーの多くが得意とするところ。

今季は、いつも通りのブラックのレイヤードと細長いシルエットという基本のスタイルはそのままに、より洗練されたコレクションを見せてくれました。。

トップはフロントが素肌が見えるほど緩く房のように下がり、ボトムでねじれて流れる作業着風のヴェルベットのドレスや、片肩からドレープになっているサリ風のチューブのトップスなど、アシンメトリーなアイテムが印象的。

マニッシュでミリタリーなテイストのコートにはペンシル・スカートを合わせるスタイリング。

少し膨らんだ襟やフード付きのマフラー、胸のあたりの結び目からからせり上がっていくような布使いで、上にボリューム感をもっていくアイデアや、メタリックなアイテムも今シーズンのトレンドとシンクロする要素。

タイダイ染めのヴェルベット素材の作品も美しい。

彼女は自身のスタイルを進化させていっているだけなのですが、今回はトレンドが彼女に近づいたイメージ。

個人的には今季くらいのバランスが一番好きな印象のアン・ドゥムルメステールでした。








2006.04.11 Tuesday

2006-07AW Christian Dior

衝撃的だった1月のゴシックな血のフランス革命を描いてから2ヶ月(ディオールとジバンシィだけは必ずオートクチュールのレヴューもします・・・)。同じ流れをより、コンテンポラリーに見せてくれたジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオールです。

クチュールとプレタを同じストーリー上で描く、殆ど唯一と言ってよいメゾンであることも、ディオールの作品を興味深いものにしている要素のひとつ。ガウンに代表される血を思わせる赤や、重厚なコート、そしてゴシックの象徴として多用された巨大なクロス・モチーフなどが、1月のクチュールの流れを受けたストロングなアイテム。

他にも戦場を潜り抜けてきた後のような、ぼろぼろに加工されたようなムートンのトレンチやレザーのバイカー・ジャケットが並びます。足元は、ボトムのミニスカートやパンツと同様にスキニーでタイトなレザー・ブーツを合わせるスタイリング。トリミングされたり、シャギーにして袖から垂らしたりと、今回もファーが贅沢に使われています。

ステッチなどブーツのディテールや、ベルトのバックルといったアクセサリーもゴシックに。太目のバンダナや、モデルの表情を隠してしまう程のビッグ・フェイスのマットなサングラスは、どこかジプシー風のテイスト。

ゴム引きのジャージーやワックス加工されたオーガンザ、中盤に見られたメタリックな素材使いも、単なるゴシック・シックに止まらない、ガリアーノのディオールらしいグラマラスさを効果的に演出しています。

クチュールのスペクタクルな流れを引き継ぎながら、ランウェイでもリアル・クローズを見せてくれるのが最近のガリアーノの優れた点のひとつ。彼のルーツであるテーラリングのスキルを存分に活かしたジャケットこそが今回の影の主役です。

基調となったカラー・パレットであるブラックに加え、ベージュなどのヌード・カラー、そしてホワイトも織り交ぜながら、素材も含めて豊富なバリエーションを見せてくれました。ムッシュ・ディオールのニュー・ルックを思わせるぺプラム・ジャケットやチュールをフロントに施したものまで登場。80'sのパワー・スーツなシルエットを借用して、タフな雰囲気に仕上げているのが、今シーズンっぽいですね。

シフォンやシルクのラッフルを重ね、レザーやメタリックなブーツやバッグと合わせた後半の深い赤のガウンやドレスのラインは、ドラマチックでパワフル。毛皮使いとかボリューム感とか、ちょぅっとだけマイケル・コースっぽいアメリカンでチープなゴージャス感がちらほら見えたのが気になったけどね(笑)。

今季のパリの中でも一番パワーをくれたジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオールでした。










2006.04.03 Monday

2006-07AW Givenchy

リカルド・ティッシがデザイナーに就任して2シーズン目となるジバンシィ

黒を基調に白と赤が差し色として映えるカラー・パレット。特に赤の使い方はインプレッシヴ。赤い刺繍の草花模様や赤いレースがカラーパネルの役割を果たしている白いシャツ、ネイビーのベルベットのスカートと合わせたトップスなど。

前半は、全身タイトな黒のサックドレスやスカート、レザー・グローヴにグラス、そしてタイトにヘアをツイストしたモデルがバッグを片手に両手に並ぶ、ストロングなスタイル。

中盤以降に登場した、このメゾンのシグニチャーである白いブラウスの豊富なバリエーションや、ネックラインと胸元に大き目のラッフルを重ねたシフォンのトップスがセクシー。

タイトなマタドール・パンツやペンシル・スカート、ベルテッド・コートなどハイウェストを太目のベルトでマークするスタイリング、キルティング・ジャケットやざっくりとしたニットなど、ファブリックの特性とカッティングの組み合わせで生み出された新しい立体感が印象的です。

今回はファーも多く見られました。スリーブやポケットにあしらったベルテッド・コートや、カラー・ブロック的に毛足の長いものを用いたコートなど。

赤やグリーンのスパンコールのTシャツ風のトップスもゴージャス。

ラストを飾った真紅のシルクサテンのサロペット風ドレスは圧巻。新しいジバンシィを感じさせるアイテムです。マリアカルラも最高(笑)。でも他のドレスは微妙かも。。。

バッグなどのアクセサリーの点数が増えていたり、シューズも若干テイストが異なるような雰囲気のものが見られたり、ウェアにしてもダウン・ジャケット風のアイテムが不自然に配置されていたりと、なんとなーくちぐはぐな印象も受けました。

ユベール・ド・ジバンシィ御大が引退してから、ジョン・ガリアーノ⇒アレクサンダー・マックイーン⇒ジュリアン・マクドナルドと10年あまりの間に3人のデザイナーが手がけ、誰も大きな成果を残せないまま、ティッシに引き渡されたわけですが、LVMHサイドの早く収益化したい意向もあるはずで。

とはいえ、これだけ歴史に名を刻んでいるメゾンでありながら、誰にでもわかり易いアイデンティティやアーカイヴが見つけ難いメゾンのような気がするだけに、アクセサリーでヒットアイテムを作って足がかりに、というのでもないような。

ティッシは個人的に好きなデザイナーなだけに、なんとかがんばって欲しいところ。

まだまだ紆余曲折がありそうな、ジバンシィでした。








 
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